2021 Fiscal Year Annual Research Report
光波の時空間における計測・変調・制御を駆使した地球型惑星検出に迫るイメージング
Project Area | Comprehensive understanding of scattering and fluctuated fields and science of clairvoyance |
Project/Area Number |
20H05893
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
早野 裕 国立天文台, ハワイ観測所, 教授 (80390623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入部 正継 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (60469228)
西川 淳 国立天文台, TMTプロジェクト, 助教 (70280568)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | 観測天文学 / 太陽系外惑星 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 空間光変調を与えた時間変動スペックルの測定誤差・補正性能の数値シミュレーション昨年度から実施してきた。数値シミュレーションにおいて、撮像面におけるスペックルの電場に対して、変調なし、次にそれぞれ直交する電場ベクトルを正負の2つの変調を順に与えた5つの状態を1セットとして、これを繰り返す。それぞれの状態の時の撮像面の強度を時間平均し、5つの平均測定量の演算からスペックル強度を求め、推定したスペックルを補正した後のコントラストを評価した。補償光学補正後の光波の残差、大気揺らぎの時間スケール、変調量、スペックルの光強度、平均する時間などをパラメータにし、フォトンノイズ、検出器の読み出しノイズなどの誤差要因も加味し、パラメータの依存性の概要を把握できた。これらを論文にまとめて投稿して、受理された。近日中に出版される予定である。 2. 昨年度仕様を確定した、実験室実証及び実証観測に必要な位相変調素子(可変型鏡)、撮像系(高速カメラ)を入手し、可変形鏡に空間変調パターンを与える初期駆動試験を実施した。また、昨年度用意した制御系(FPGA)を用いて、可変型鏡に空間光変調を与えて高速カメラで撮像するためのソフトウェアを開発し、高速カメラの積分時間500μ秒、繰り返しサイクルは1kHz、処理に300μ秒の撮像システムが完成した。 3. 我々の数値シミュレーション結果を領域融合推進班メンバーや共同研究者と共有し、ハワイ観測所すばる望遠鏡の太陽系外惑星研究のためのコロナグラフ極限補償光学グループ(Subaru Coronagraph Extreme Adaptive Optics)への実装の可能性を議論し始めた。また、本領域の他の計画研究が抱える対象、研究テーマ、特に大気中の自由空間光伝播などにおける光波制御について議論をし始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 空間光変調を与えた時間変動スペックルの測定誤差・補正性能の数値シミュレーションの結果の論文化については、全く新しい原理を提示する論文であったため、査読者に理解していただくまで時間がかかり、かつ公正な厳しい批判に対して回答するやりとりに時間を若干要した。ただ、このことにより、より一層、論文内容が明瞭になった。この論文を引用した応用論文が多数出される期待が高まった。 2. コロナ禍による物品調達の遅延、候補業者との制御系(FPGA)ソフトウェア仕様の擦り合わせに時間を要するなど、多少の影響を受けたが、感染拡大状況が徐々に良くなってきたこともあり、年度内に位相変調素子(可変型鏡)、撮像系(高速カメラ)を入手し、ソフトウェアを開発がひとまず完了させることができた。 3. 領域融合推進班メンバーや共同研究者とのface-to-faceの会合が制限されたため、なかなか議論を深めることができなかったため、新しい共同研究の進捗は捗々しくなかった。今後のコロナ禍の状況の改善に期待したい。
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Strategy for Future Research Activity |
出版される空間光変調を与えた時間変動スペックルを用いた主星のスペックル誤差推定とその補正を記した原理論文に対し、それを実験室に置いて実証することを目指す。その実験系の主要要素となる可変型鏡、高速カメラ、FPGA制御系に加えて、光源、レンズや鏡などの光学系、評価用のカメラ、実験補助品などを順次整備し、個別試験、組合せ試験、全体性能評価試験など予定通り進める。 一方で、共同研究を進める京都大学のせいめい望遠鏡への搭載を目指した検討、ハワイ観測所すばる望遠鏡の太陽系外惑星研究のためのコロナグラフ極限補償光学グループ(Subaru Coronagraph Extreme Adaptive Optics)へのアルゴリズム実装を目指した検討を並行して進めていく。 また、空間光変調を与える可変型鏡とスペックル誤差除去を担当する可変形鏡を独立にしたよりロバストなシステムを目指すため、可変形鏡の仕様策定、購入準備を進め、2023年度に購入をする。
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[Journal Article] Halftone Wave Front Control: Numerical Simulation and Laboratory Demonstration2022
Author(s)
Yoneta, K., Murakami, N., Ichien, H., Sudoh, S., and Nishikawa, J.,
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Journal Title
Astronomical Journal
Volume: 163
Pages: id. 112
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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