2021 Fiscal Year Annual Research Report
Integrated decoding of glia-neuron network
Project Area | Glia decoding: deciphering information critical for brain-body interactions |
Project/Area Number |
20H05895
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡部 繁男 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (60204012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 宗明 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (90582007)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | グリア / イメージング / 神経回路 / 脳末梢連関 / 精神疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の二項目について研究を実施した。 (1)脳細胞移植と二光子顕微鏡イメージングの統合によるグリアデコーディング:未分化な神経幹細胞を別の動物の脳内に移植することで細胞の分化成熟を誘導することが可能である。この細胞移植技術を個体レベルでのイメージング手法である二光子顕微鏡技術と組み合わせることが出来れば、神経細胞、グリア細胞それぞれに由来するシグナルの切り分けや細胞自律的な機能調節の存在の有無を明確に示すことが出来る。本年度はGFP発現マウスの生後脳組織からグリア前駆細胞を培養し、生後早期のマウスの大脳皮質への移植を実施した。移植後の動物の脳組織標本の解析から、神経回路への侵襲は抑制した条件でとグリア細胞の大脳皮質への組み込みとアストログリアの形態学的成熟が起こることを確認できた。 (2)脳深部での神経細胞、上衣細胞、タニサイト、グリア細胞の相互作用:視床下部における複数の細胞要素の構造的関係性の解析を継続し、電子顕微鏡の3次元再構築画像により脳室壁に沿って走行する神経突起の特徴を抽出した。脳室壁を走行する神経突起は軸索の特徴を持つこと、また分泌顆粒も存在し、機能的な意味を持つ構造であることが確認できた。また海馬におけるミクログリアの動態を個体レベルで観察するための手術方法を確立した。更にexpansion microscopyによって組織を拡大し、実質的な解像度を上げてグリア細胞の微細な構造を解析する手法についての予備的な検討を終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目の研究の進捗として、研究項目(1)に関連してはグリア前駆細胞の生後早期の大脳皮質への移植により効率の良い組織への組み込みが起こることを確認できた、研究項目(2)については電子顕微鏡画像の3次元再構築により視床下部の脳室壁に観察される軸索構造の特徴が確定された、という収穫があった。特に研究項目(1)は本計画の達成において要となる技術であり、この実験が再現性良く実施できることは今後の研究計画の達成において大きな進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
本計画研究では脳機能の要となる神経回路の形成・成熟におけるグリア細胞と神経回路のダイナミックな応答を先端的なイメージング技術を適用し、個体レベルで解析することを目指している。その為には脳移植技術と個体レベルでのシナプスやカルシウムのイメージング技術の統合が最も必要とされる技術である。次年度には移植後の脳組織における遺伝子変異グリア細胞移植による神経回路の変化を個体レベルのイメージングを活用して解析することを試みる。
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