2022 Fiscal Year Annual Research Report
全身臓器の生理的・病理的免疫状態遷移の脳による検出機構
Project Area | Glia decoding: deciphering information critical for brain-body interactions |
Project/Area Number |
20H05899
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
和氣 弘明 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (90455220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足澤 悦子 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 助教 (00446262)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | ミクログリア / 全身エリテマトーデス |
Outline of Annual Research Achievements |
SLEモデルであるTLR7誘導性SLEモデル(TLR7モデル)を使用し、SLEがウィルス感染などに伴って増悪することに着目し、TLR7モデルにPoly I:C投与を行い、行動変化と脳内炎症の有無を検討した(TLR7+Poly I:Cモデル)。TLR7+Poly I:Cモデルにおいても脾腫がみられ、SLE様症状を呈することが確認された。TLR7+Poly I:Cモデルはコントロール群(Vehicle群)と比較し、オープンフィールドテストで有意に中央滞在率が低下し、不安様症状を呈した。さらに、大脳皮質において、Poly I:C単独投与群(Vehicle+Poly I:C群)と比較して有意なCD3+CD11b-CD45+細胞数の増加がみられた。次に、CD3+細胞の動員にミクログリアが関与しているか検討するため、ミクログリア除去時のCD3+細胞数を解析した。Poly I:C投与の1週間前よりPLX3397(PLX)の投与を行い、ミクログリアを除去した。ミクログリア除去においてVehicle群と比較して有意に活動性の低下がみられ、TLR7+Poly I:Cモデルよりも低下の程度が大きかった。また、大脳皮質のCD3+CD11b-CD45+細胞数は、TLR7+Poly I:Cモデルと比較し、ミクログリア除去で有意に増加していた。CD4/CD8比は有意に低下し、TLR7+Poly I:Cモデルと比較してミクログリア除去でCD4+細胞数は有意差がないが、CD8+細胞数は有意に増加した。以上の結果から、TLR7+Poly I:Cモデルにおいて、大脳皮質でミクログリアがCD8+細胞の浸潤を抑制している可能性が示唆された。CD8+細胞の浸潤はループス腎炎における組織損傷に影響することが知られ、ミクログリアはSLEにおける脳実質の組織損傷から保護していることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規SLEモデルの解析が順調に進んでる
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、生体内イメージング技術を用いて、ミクログリアの局性、血液脳関門の透過性の変化を経時的に観察し、解析する。また、蛍光標識したリンパ球を移入し、脳実質内へ浸潤する過程を可視化する。ミクログリアがCD8+細胞を他細胞種と区別し検出する相互作用の挙動を明らかにする。また、RNA-seqによって、TLR7+Poly I:Cモデルとコントロール、TLR7モデルにおけるミクログリアの遺伝子発現解析を行う。さらに先行研究 (Haruwaka et al., 2019)で、ミクログリアは全身炎症に伴って脳血管周囲に遊走し、血液脳関門の透過性に寄与することを明らかにした。この研究の過程で、炎症が消退したのち、ミクログリアは血管周囲から離れ、再配置されることがわかった。この際に炎症時の血液脳関門の透過性増大によって血管内に存在していた蛍光色素を取り込んで、再配置されることがわかった。これはミクログリアを生体で標識することが可能であることを意味する。そこで、蛍光色素として、磁性コーティングされた量子ドットを用いて、ミクログリアを再配置させ、これをMRIで撮像させることを目指した。リポ多糖類で全身炎症を起こしたマウスの静脈内に磁性コーティングされた量子ドットを注入し、ミクログリアに特異的に取り込ませることに成功した。さらに炎症が治った後の再配置されたミクログリア内に量子ドットが取り込まれているのを生体2光子顕微鏡で可視化し、明らかにしたのちに、マウスMRIを撮像した。この状態で1細胞レベルでの検出は困難であることがわかったため、現在7Tの小動物用MRIを用いて、多発性硬化症モデル、およびアルツハイマー型認知症モデルでの検出検証を行っている。
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Research Products
(23 results)
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[Journal Article] Microglia Enable Cross-Modal Plasticity by Removing Inhibitory Synapses2023
Author(s)
Hashimoto A, Kawamura N, Tarusawa E, Takeda I, Aoyama Y, Ohno N, Inoue M, Kagamiuchi M, Kato D, Matsumoto M, Hasegawa Y, Nabekura J, Schaefer A, Moorhouse AJ, Yagi T, Wake H
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Journal Title
Cell Reports
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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