2023 Fiscal Year Annual Research Report
複合的な不均一環境における根粒共生を介した窒素栄養獲得の統御機構
Project Area | Multi-layered regulatory system of plant resilience under fluctuating environment |
Project/Area Number |
20H05908
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
壽崎 拓哉 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40575825)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | 窒素栄養 / 環境適応 / 根粒共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
土壌中に窒素栄養が豊富に存在する環境では根粒形成が抑制されることが知られている。これまでこの制御に異常を示すnrsymと名付けたミヤコグサのEMS変異体を単離し、それらを用いた分子遺伝学的な解析を行ってきた。その結果、2つのNLP転写因子NRSYM1/LjNLP4およびNRSYM2/LjNLP1が硝酸態窒素に応答した根粒形成遺伝子の発現制御に関わることや硝酸イオン輸送体NRSYM3/LjNRT2.1がNLP依存的な遺伝子発現制御を仲介する機能をもつことを明らかにしてきた。これまでの研究では順遺伝学的なアプローチは有効に作用してきたが、この手法では特定することのできる遺伝子の数は飽和状態に近いことが考えられた。そこで、ミヤコグサの国内野生系統に着目し、自然変異を利用して新規因子を同定することを試みた。まず、硝酸存在下における根粒形成を調べたところ、系統間で表現型に大きなバリエーションがあることが分かった。硝酸応答の表現型を指標にしてGWASを行い、新規因子をいくつか同定した。 NLPとNINは同一の転写因子ファミリーに属しているが、それぞれ硝酸シグナリング、根粒形成シグナリングにおいてマスターレギュレーターとして機能する。NLPとNINはDNA結合ドメインが高度に保存されており、共通した標的遺伝子をもつ一方で、根粒形成の正の制御遺伝子のプロモーター上に存在するシス配列にはNINのみが結合することが分かっている。これまでの研究により、このNLPとNINのDNA結合特異性の違いを生み出している新規モチーフを同定している。今年度はCRISPR-Cas9システムにより、このモチーフを特異的に欠失させた植物を作出した。その表現型を解析したところ、根粒形成に著しい影響が出ることが分かり、根粒形成の制御におけるこのモチーフの重要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
並行して進めている複数の研究項目について着実に研究成果が蓄積しており、一部については論文発表につながっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
並行して進めている複数の研究項目について、詰めの実験を行い論文発表に必要なデータを取得する。
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