2023 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of Molecular Dynamics for Structural Spine Plasticity during the Critical Period
Project Area | Inducing lifelong plasticity (iPlasticity) by brain rejuvenation: elucidation and manipulation of critical period mechanisms |
Project/Area Number |
20H05918
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
内ヶ島 基政 新潟大学, 脳研究所, 研究教授 (10614662)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | スパイン / 分子標識 / イメージング / ゲノム編集 / 臨界期 / 眼優位可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、独自に開発した生体内ゲノム編集に基づいた単一細胞内在分子局在解析技術によって、マウス生後発達過程の臨界期における大脳皮質感覚野ニューロンの個々のスパインに発現する分子の分布パターンおよび動態を大規模かつ網羅的に観察し、臨界期を特徴づけるスパイン分子発現プロファイルを明らかにする。前年度までに、ゲノム編集技術を介した化学タグノックイン、広視野・高分解能イメージング、半自動的解析を組み合わせることによって、マウス大脳皮質の単一ニューロン上の4000個以上のスパインにおける内在スパインタンパク質の局在を網羅的にマッピングすることに成功した。本年度は、この技術を通じた内在タンパク質動態のマッピングを試みた。化学タグ標識タンパク質を介したある時間枠のパルスチェイス標識は、同一タンパク質内の既存の亜集団とその時間枠に新規合成された亜集団の識別を可能とする。そこで、生きたマウスの脳内にてパルスチェイス標識を行うため、脳表へのアクセスを可能とする頭蓋窓の作製した。単一大脳皮質ニューロンのCaNKIIα、βアクチン、PSD95に対する2時間の時間枠のパルスチェイス標識を行った結果、スパイン毎の既存と新規合成の亜集団の比率のばらつきに関して、PSD95で大きい一方、CaNKIIαとβアクチンで小さいという、分子の種類に応じた相違が認められた。過去の知見から、これらの分子動態と、個々のスパインにおけるシナプス可塑性との関連が予想される。現在、これまでに得られた内容をまとめた投稿論文の改訂を行っている。また、この技術をマウス一次視覚野の臨界期に応用するため、3点電極を用いた子宮内電気穿孔法によって、一次視覚野ニューロンにて1細胞シナプトームマッピングを行う実験系を立ち上げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、in vivoにおけるパルスチェイス標識を用いた内在スパインタンパク質動態の1細胞しナプトームマッピング解析に成功し、その内容をまとめた論文の投稿を行うなど、着実な進展があった。一方、臨界期研究への応用に関してはやや遅れているものの、臨界期研究のモデルとなるマウス大脳皮質一次視覚野での1細胞シナプトームマッピングに既に成功したことから、今後の研究の進展が見込まれるため、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在改訂中の論文の掲載に向けた実験を進める。また、2024年度は本研究計画最終年度のため、ゴールであるマウス一次視覚野臨界期メカニズムの解明に向けた1細胞シナプトームマッピング解析の応用を一層推進する。
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