2022 Fiscal Year Annual Research Report
Genomic modalities of development and differentiation and elucidation of disease mechanisms by their malfunction
Project Area | Genome modality: understanding physical properties of the genome |
Project/Area Number |
20H05940
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白髭 克彦 東京大学, 定量生命科学研究所, 教授 (90273854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 幸佑 東京大学, 定量生命科学研究所, 客員准教授 (40383707)
朴 聖俊 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (40759411)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | 転写制御ネットワーク / コヒーシン / コヒーシンローダー / Cbx1 / NKAP / Brd / Aff4 / Hexim |
Outline of Annual Research Achievements |
白髭らは現在までにコヒーシン及びコヒーシンローダー(NIPBL)のAIDデグロン、Brd4のノックダウン、Aff4のノックダウン、HEXIMのノックダウンによりコヒー シン関連疾患の患者細胞で見られる形質(すなわちNIPBLの結合の低下)を再現することを試みてきた。その中で、1)NIPBLの結合低下がBrd4の結合低下を引き起 こす反面、Aff4の結合の増加を引き起こすこと、2)Brd4の結合低下はNIPBLの結合低下を引き起こすこと、3)Aff4の結合低下はNIPBLの結合の増加を引き起こすこと、4)Aff4を大量 発現しても NIPBLの結合の低下は誘導されないが、患者型のAff4はNIPBLの結合低下を誘導できること、5)細胞中のAff4をKDするとCDK9の安定性が大きく損なわれるが、Brd4は関係ない。また、Brd4自身はRNA Polymeraseと複合体を形成しているCDK9とは結合していないこと、を見出した。朴らは、マウスES細胞由来の80サンプル以上の各種NGSデータ、及びMicro-CやEU-seqなどの独自データの大規模解析を継続して行った。同時に、これまでに拡充してきたゲノム高次構造と転写関連データを使って遺伝子転写制御の数理モデル化に挑戦し、転写調節に関わる遺伝子近傍制御領域(プロモーター)と長距離制御領域(非コードHi-Cコンタクト部位)における転写因子結合の組み合わせ、ヒストン修飾の特徴を定量化することに成功している(執筆中)。ここでは、マウスES細胞データのパイロットデータとしてヒトB細胞分化に関連する各種NGSデータを用いており、回帰モデルとグラフエンベディング手法、畳み込みニューラルネットワークをベースにした深層学習法を駆使してモデリングを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コヒーシンローダーによる転写制御の実態はCDK9の過剰な亢進によるもであることを明らかにできたと同時に、従来考えられていたのとは異なり、Brd4とAff4は転写亢進という同じ役割を持つのではなく、Aff4の転写の亢進に対しBrd4はむしろ抑制的に機能していることが判明した。この相反する活性をコヒーシンがBrd4の側でどのように調節しているのかを明らかにすることと実質的に一体何が細胞の中で特に最終産物であるRNAに起こっているのかを明らかにすることが今後の課題であるが、全く新しい視点をこれらの知見はゲノム高次構造制御、転写制御分野にもたらす可能性がある。さらに、情報学的基盤構築、新規の染色体因子の遺伝病の発見等順調 に進行している。一方、朴らは膨大な関連NGSデータのプロファイリングに時間がかかっており、プロファイルの完成を待たずにパイロットデータを用いた数理モデリングの試行を並行しているが、パラメーターチューニングに予定外の計算コストが必要となっているがなんとか期待通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
結局Cdk9活性が亢進すると一体何が転写産物に生じるのかが次の焦点となっている。現在、CdLSやCHOPsにおける蛋白因子の動態解析やRNAの構造解析、ヌクレオソームの配置解析をより丁寧に情報学的に行い、この問題を解き明かそうとしている。朴は本年度に得られた成果を基に、今後、提案手法の多角的な精査を重ねるとともに、GMS試作版の公開と関連データの集約を進める。泉はノックアウトマウスを 用いた解析を引き続き行う。朴らは関連データの整備と拡充は本年度でほぼ終了しており、得られたゲノム的解析結果を用いた情報科学的モデリングを本格化する。これまでにパイロットデータの数理モデル化では学術的に良い結果が得られており、今後、マウスES細胞におけるコヒーシン複合体の機能解析に絞ったモデリングを、パラメーターの見直し、機械学習手法のブラッシュアップなどを通して、本研究課題の遂行を目指す。
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[Journal Article] Mesenchymal loss of p53 alters stem cell capacity and models human soft tissue sarcoma traits.2023
Author(s)
Sorimachi Y, Kobayashi H, Shiozawa Y, Koide S, Nakato R, Shimizu Y, Okamura T, Shirahige K, Iwama A, Goda N, Takubo K, Takubo K.
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Journal Title
Stem Cell Reports
Volume: S2213-6711(23)
Pages: 00097-8
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Transient Methionine Deprivation Triggers Histone Modification and Potentiates Differentiation of Induced Pluripotent Stem Cells.2023
Author(s)
Ozawa H, Kambe A, Hibi K, Murakami S, Oikawa A, Handa T, Fujiki K, Nakato R, Shirahige K, Kimura H, Shiraki N, Kume S
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Journal Title
Stem Cells.
Volume: 41(3)
Pages: 271-286.
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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