2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Pan Pacific Environmental Changes and Civilizations |
Project/Area Number |
21101004
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
坂井 正人 山形大学, 人文学部, 教授 (50292397)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 洋一 山形大学, 人文学部, 教授 (10137490)
本多 薫 山形大学, 人文学部, 准教授 (90312719)
阿子島 功 山形大学, 人文学部, 名誉教授 (00035338)
|
Keywords | 文明 / 環境 / ペルー南海岸 / ナスカ / 地上絵 / モンテカルロ法 / 認知心理学 / 植物分析 |
Research Abstract |
ナスカ台地とその周辺地域における文明の盛衰と環境の関係について研究するために、2010年8月から2011年1月までの6ヶ月間にわたって現地調査を実施した。 ナスカ台地では、まず地上絵の分布に関するデータを集めた。その結果、人間の「首級」だと思われる地上絵(約4.2×3.1m)および動物の地上絵(約2.7×6.9m)を発見した。また、放射状直線の中心点(ライン・センター)を新たに76点発見した。次に、地上絵付近に分布する人工遺物(8500点以上)を収集した。これらを計測・記載・分類・写真撮影・図面化することで、人工遺物のデータベース化に努めた。また地上絵の制作時期を検討するために、人工遺物の付着物や木片を採取した。さらに、ライン・センターがランダムにナスカ台地に配置されていないことを、モンテカルロ法によるコンピュータ・シミュレーションによって実証した。その一方で、地上絵の位置・大きさ・方向を認知心理学的視点から分析した。すると、静止して見るために制作された地上絵はごく一部にすぎず、頭を動かしたり、移動しながら見ることを前提として制作された地上絵が大部分を占めることが分かった。 一方、ナスカ台地周辺部に分布するパレドーネス遺跡を発掘したところ、この遺跡が紀元前4世紀から約2000年間にわたって利用されていたことが判明した。表面調査では、紀元前2世紀から16世紀まで、この遺跡で活動があったことが分かっていた。しかし、今回の発掘によって、さらに200年も遡ることが明らかになった。これほど長期間にわたって活動が見られる遺跡は、ペルー南海岸部で非常に珍しい。パレドーネス遺跡が、アンデス文明の盛衰と環境の関係を調査するのに適した遺跡であることが再確認できた。なお、パレドーネス遺跡から出土した種子を、Cayetano大学(ペルー共和国)の花粉分析・古植物学研究室に分析を依頼した。
|
Research Products
(17 results)