2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Pan Pacific Environmental Changes and Civilizations |
Project/Area Number |
21101004
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
坂井 正人 山形大学, 人文学部, 教授 (50292397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿子島 功 山形大学, 人文学部, 名誉教授 (00035338)
渡辺 洋一 山形大学, 人文学部, 教授 (10137490)
本多 薫 山形大学, 人文学部, 教授 (90312719)
松本 雄一 山形大学, 人文学部, 准教授 (90644550)
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Project Period (FY) |
2009-07-23 – 2014-03-31
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Keywords | 文明 / 古環境 / 乾燥化 / アンデス / 地上絵 / 空間認識 / 競合 / 連帯 |
Research Abstract |
ナスカ川の水源地付近の湖沼堆積物に関する、現時点までに分析されたデータは、水源地付近において環境が大きく変化した時期に、ナスカ台地周辺でも社会変動があったことを示している。ただし、環境変化によって、ナスカ社会が崩壊した訳ではない。乾燥化に対応するために、ナスカ社会はナスカ中・後期(後400~700年頃)に地下水路を建設して、地下水を積極的に利用した。また水を確保しやすい地域に居住地を移動させた。ナスカ社会が環境変化によって崩壊しなかったことは、地上絵をめぐる活動が2000年間継続したことによって明らかである。また農耕活動を維持していたことが、花粉分析によって示されている。 今年度の調査で、パラカス期(前400~前200年)のラクダ科動物の地上絵(少なくとも5点)を発見した。これらは丘の斜面に描かれているため、地上から見て、その形を認識することができる。一方、ナスカ期(前200~後700年)に制作された動物の地上絵は、平らな場所に大きく描かれているため、地上から見ても全体の形を認識することはできない。しかし、周囲を歩き回れば、その形を認識することができる。周囲に土器や石器が分布しているので、見るためではなく、動き回って儀礼を行う場所だったと考えられる。 巨大神殿カワチが機能していたナスカ前期(前200~後400年頃)には、ナスカ台地の南北に競合的な社会が存在したことが、居住地の配置、地上絵の分布および土器の分析から判明した。一方、ナスカ中・後期とイカ期(1000~1500年頃)には、台地の南北を結ぶ道路が設定され、同一の土器が台地の南北の社会で使用されていたため、両社会は密接な関係にあったと考えられる。ナスカ中・後期に地下水路が建設されたことを考慮に入れると、乾燥化に対応するために、水資源の獲得だけでなく、社会的な連帯が図られたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(15 results)