2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Quantum cybernetics - interdisciplinary studies of quantum controls and developments toward quantum computing |
Project/Area Number |
21102002
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
蔡 兆申 独立行政法人理化学研究所, 巨視的量子コヒーレンス研究チーム, チームリーダー (30469910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NORI FRANCO 独立行政法人理化学研究所, デジタル・マテリアル研究チーム, チームリーダー (50415262)
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Keywords | 超伝導 / ジョセフソン効果 / 量子ビット / 量子光学 / ハイブリッド量子系 / 蛍光散乱 / 電磁誘導透明化 / レーザー発振 |
Research Abstract |
量子サイバネティクス研究の一つの大きな目標は、異なった物理系で実現する量子系を結合させた、ハイブリッド量子系の実現とそのコヒーレント操作である。今季はこの方向で大きな成果が得られた。すなわち超伝導回路の量子状態と導波路中のマイクロ波光子の量子状態を結合させた一連の実験に成功した。一次元の導波路(超伝導コプレーナー型)に、一つの磁束量子ビットをインダクティブに結合させた回路を作成し、その系の透過と反射を観測した。磁束量子ビットは巨視的な人工原子系であるが、点状の自然原子とまったく同じように光子を散乱させることを観測した。共鳴条件では、ほぼ完全に(94%)入射マイクロ波を反射させるという、これまでの量子光学の常識を破る素晴らしい結果を得た。この成果はScience誌に掲載され、同時にプレスリリースを行い、多くの一般紙で報道された。 上記の実験のように、入力マイクロ波が完全に反射されている状況で、人工原子の第2と第3準位間エネルギーに相当するマイクロ波を入力すると、入力波の反射が止み、導波路が透明化される。これは電磁誘導透明化という現象であり、我々はたった一つの原子でそれを達成した(PRL掲載)。 同様な系の3準位を使い、ポンプ光を使い反転分布を実現した。これを反映し、マイクロ波の自然放出が観測された。また入力光を照射すると誘導放出が観測され、マイクロ波の増幅が実現した。これはたった一つの原子によるレーザー発振であり、究極に単純化されたオンチップの量子限界の増幅器である(PRL掲載)。 同様な超伝導量子ビットを使った以下の量子光学の理論的研究も行ってきた。可変電磁誘導透明化回路(PRA)、可変電磁共振器による単一光子の制御(PRA)、超伝導量子回路での動的Casimir効果(PRA)、観測による量子状態の制御(PRA)などである。
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Research Products
(93 results)