2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Quantum cybernetics - interdisciplinary studies of quantum controls and developments toward quantum computing |
Project/Area Number |
21102002
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
蔡 兆申 独立行政法人理化学研究所, 巨視的量子コヒーレンス研究チーム, チームリーダー (30469910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NORI Franco 独立行政法人理化学研究所, デジタル・マテリアル研究チーム, チームリーダー (50415262)
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Keywords | 超伝導 / ジョセフソン効果 / 量子ビット / 量子光学 / ハイブリッド量子系 / 蛍光散乱 / 電磁誘導透明化 / レーザー発振 |
Research Abstract |
ジョセフソン効果と完全に量子力学的に共役なコヒーレント量子位相スリップ(CQPS)効果の研究を進めている。これは磁束が細い超伝導細線をコヒーレントにトンネルして横切り現象であり、近年その存在が理論的に予言されていた。そのトンネル確率はsin(2δq/e)に比例し、この場合、δqは細線両端の電荷の差である。これはジョセフソン効果での電流がsinδθに比例するする現象に共役的に対応している(δθはジョセフソン接合両端での巨視的量子波動関数の位相差)。したがってCQPSを利用すると、これまで開発されたジョセフソン効果を使った量子電圧標準や量子磁束系(SQUID)と完全に共役な、量子電流標準や量子電荷系の実現が期待される。これは単電子トンネル効果を使った電流ポンプや電荷系とは似て異なるものである。我々はCQPS効果の観測を目指し、様々の種類の超伝導薄膜を使った実験を行っている。細線構造を含む超伝導ループの分光実験で、我々はCQPS効果の証拠を初めてつかんだと考えている。 我々は超伝導量子ビットと微小な機械的共振器を組み合わせた系の研究を進めている。このような系は顕著に巨視的な機械振動のモードを、量子コヒーレントに状態操作する可能性を秘めている。アルミ薄膜より構成される単電子トランジスターの島電極が、機械的共振器となる構造を作成し、その特性を評価した。我々は微小な多結晶質のアルミ機械的共振器の振動の減衰を調べた。1K以下で、共振周波数の対数的温度依存性と、線形な損失の温度依存性が観測された。このような現象は既存の理論では説明できず、'新たに量子2準位系と結合したモデルを提唱した。2準位系は共振器中の1次元フォノンと結合している推測できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験グループも、理論グループも活発に研究を進め、順調に成果を上げている。実験グループは論文6件を発表し、内Nature系2件、PRL3件である。理論グループは22件の論文を発表し、内Nature系2件、PRL1件を含んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
特にコヒーレント量子位相スリップに関する実験を新たに進める計画である。グループ間の連携研究として、超伝導磁束量子ビットと、微視的量子系の結合した混合量子系の研究を新たに始めようと計画している。
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