2012 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular spin quantum control
Project Area | Quantum cybernetics - interdisciplinary studies of quantum controls and developments toward quantum computing |
Project/Area Number |
21102004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北川 勝浩 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20252629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工位 武治 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), その他 (10117955)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 分子スピン / 核スピン / 電子スピン / 磁気共鳴 / 動的デカップリング / 共振器 / パルス補償 / スピン増幅 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. (ABC)n型の核スピン量子ビット列で高精度の量子ゲート操作を行うためのパルス波形の数値的設計法を考案した。 2. 選択的にフッ素と炭素13でラベルしたp-ターフェニルを用いて量子非破壊測定が可能な狭義のスピン増幅を実現し、初めて10倍を超える利得を達成した。(論文投稿準備中) 3. 光励起三重項状態を用いた動的核偏極で、ホスト分子p-ターフェニルの部分的重水素化とゲスト分子ペンタセンの重水素化によって、室温で初めて34%の高偏極率を達成した。(論文投稿準備中) 4. 100mKの極低温下でKu帯パルスESR実験によって、偏極率99.9%以上に初期化された電子スピンの量子制御が可能となった。また、高効率のストリップライン型ESRプローブを開発した。(論文投稿中) 5. 量子ビットリソースとなる、π共役多核スピン開殻分子系の設計・合成と分子サイズの大きな高スピン系に適用できる量子化学計算法の開拓の課題では、スケーラブルなLloyd モデルの電子スピン版のプロトタイプの拡張系の合成法、及び希釈系の探索を引き続き行い、(ABC)nの単位系のスピン物性を検討した。一方、電子スピン・核スピンを担持する二重螺旋構造体のDNA模倣型オリゴマーの多スピン構造体を評価する方法論を、パルス電子スピン二重共鳴実験・量子化学的な理論の両面から完成させた。核スピン量子ビット数を増加させた拡張π共役系の新しい有機ラジカル系を設計し、デコヒーレンスを抑制するために大きな置換基をスピンサイトに導入することに成功し、多核スピン状態制御の多重共鳴実験が可能であることを示した。また、多電子スピン系のゼロ磁場分裂テンソル計算において、スピン-軌道相互作用を考慮できる、新たな理論的アプローチを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
狭義のスピン増幅を可能とする分子を計画通り合成することができ、それを用いて狭義のスピン増幅で初めて10倍を超える利得を達成できた。(論文投稿準備中)光励起三重項状態を用いた動的核偏極で室温で初めて34%の高偏極率を達成したが、これは当初予想していなかったブレークスルーによるものである。(論文投稿準備中)極低温で18GHzのパルスESRが可能となり、初期化された電子スピンで量子制御実験が可能になった。高効率のESRプローブが実現した。(論文投稿中) 電子スピン・核スピンを担持するスピンサイトを持たせた、二重螺旋構造体のDNA模倣型オリゴマーの多電子スピン構造体のスピンサイトの分子構造を評価する方法を、パルス電子スピン二重共鳴実験及び量子化学的な理論の両面から完成させることができた。核スピン量子ビットをclient量子ビットとして扱う、電子スピンバス系では、緩和時間を抑制することができた結果、スピン状態制御の実験に必要なパルス電子-核スピン二重共鳴信号を検出できる第2例目を見出した。また、多電子スピン系のゼロ磁場分裂テンソル計算において、スピンー軌道相互作用を考慮できる、新たな理論的アプローチを開発し、定量的なスピン物性ができる見通しを立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(a) (ABC)n型核スピン量子ビット列を高精度で操作するパルス波形の数値的最適化を行う。また、動的デカップリングを行いながら量子演算を行うパルス波形の設計法を他の物理系(超伝導系)の研究者と共同研究する。さらに、量子情報を保護する方法およびそのための分子系を理論家と共同研究する。 (b) 真のスピン増幅の高利得化を行う。 (c) 電子スピン・核スピン混合系の2次元分子スピン系では特に、正方対称場をもつフタロシアニン骨格に、ニトロオキシドなどの安定有機ラジカルを対角的に配置させた4電子スピン-4核スピン系を設計合成では、磁気的希釈単結晶系の合成ルートをフタロシアニン・ポルフィリン化学合成の専門家の協力を得て、開拓する。磁気回転比の小さな核スピンを量子ビットとして活用する二重パルスマイクロ波の技術を完成させ、窒素核スピンをもつ電子スピンバス系のスピン状態制御を実行する。 (d) 動的核偏極による核スピンの偏極率を高める。さらにその高偏極を他の分子に移す。高偏極化した核スピンを用いた量子シミュレーションを量子系の計算機シミュレーションの研究者と共同研究する。
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Research Products
(94 results)
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[Presentation] ESR double quantum transitions revisited: a ground-state triplet nitroxide diradical with sizable ZFS as studied by single-crystal CW/Pulsed ESR spectroscopy2013
Author(s)
S. Nakazawa, M. Kawamori, K. Sugisaki, K. Toyota, D. Shiomi, K. Sato, T. Furui, M. Kuratsu, S. Suzuki, M. Kozaki, K. Okada, and T. Takui
Organizer
The 46th Annual International Meeting of the ESR Spectroscopy Group of the Royal Society of Chemistry
Place of Presentation
University of Warwick, UK
Year and Date
20130407-20130411
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