2012 Fiscal Year Annual Research Report
Quantum control using cold atoms
Project Area | Quantum cybernetics - interdisciplinary studies of quantum controls and developments toward quantum computing |
Project/Area Number |
21102005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 義朗 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40226907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 哲哉 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, その他部局等, 研究員 (70393775)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 原子・分子物理 / 超精密計測 / 超伝導材料・素子 / 量子エレクトロニクス / 量子コンピュータ |
Outline of Annual Research Achievements |
京大では、「光格子」を用いたアプローチを推進している。光格子中のイッテルビウム(Yb)原子に対して研究を行い、まず、2次元系のボース・アインシュタイン凝縮原子に対する光格子系に対して、2重モラセスという新しい手法により、高空間分解能の発光イメージングに成功した。また、高エネルギー分解能のレーザー分光法と組み合わせることに成功した。さらに、量子制御として、量子非破壊測定により生成したスピンスクイーズド状態の量子フィードバック制御に成功し、多数回の制御を可能とする光トラップシステムの開発に成功した。 NTTでは、微細加工された固体表面の近傍に捕捉した冷却原子を用いて量子制御の研究を行なっている。本年度は、従来技術よりも強く安定な超伝導永久電流磁場トラップを用いて、ルビジウム原子のボース凝縮体(BEC)の生成に成功した。凝縮は、飛行時間法(TOF)により運動量空間の原子密度分布を計測し、凝縮・非凝縮の2層が現れることで確認したが、このTOFが永久電流磁場中での計測であることから、更に、トラップ中の原子損失率による凝縮の確認も行った。実験による損失率計測の比較対象となる「ポテンシャル中の3体ロスによる原子損失率の数値計算」には、位相空間密度の高い冷却原子にRF磁場共鳴を用いて精密に計測した磁場形状を用いた。上記の数値計算と実験結果とはフィッティングパラメータ無しで良く一致することが確認され、凝縮体の生成の確証を得た。BECが得られた事により、超伝導永久電流チップの特徴を生かした擬1次元の量子シミュレーションや、原子干渉計による精密計測への応用が期待できる。 学習院大学の「スピン制御」では、87Rb原子の多成分の量子凝縮原子を用意し、スピンエコーの振る舞いを調べ、磁場モニターとしての有用性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
京大では、量子スピン制御に有望な、長いコヒーレンス時間と大きな光学密度を有する光トラップ系の開発に成功し、さらに、高空間分解能を有する新しい高感度イメージング系を開発することに成功し、順調に進展していると言える。 NTTでは、超伝導永久電流トラップは、安定である反面、外部からの磁場に敏感という特徴を持つ。このため従来のRF磁場共鳴を用いる蒸発冷却ではBEBの達成は難しいと考えられていたが、磁場の向きを工夫することによりBECに至ることが可能となった。これは超伝導体の近傍で冷却原子の量子制御を行う上で大きな進展であり、震災による遅れを取り戻したと考えられる。 また、学習院大学でも、磁場モニターとしての有用性を確認することに成功するなど、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
京大では、これまで順調に進展しており、このままの態勢で、研究を推進する。ただし、領域内での融合研究として、高空間分解能分光関連で、大阪大学の占部研究室との連携をより進め、画期的な進展につなげることを計画している。 NTTでは、中心研究者が会社の研究管理業務に忙殺され、実験研究の戦力低下が深刻な状況にある。理論研究者との協力により研究を進捗させてはいるが、京都大学(高橋研)、学習院大学(平野研)、大阪大学(井元研)との研究協力体制を強化することで、研究の進捗を図りたいと考える。 また、学習院大学も順調に進展しており、チーム内連係によりさらに進展を加速させる。
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Research Products
(41 results)