2012 Fiscal Year Annual Research Report
Mathematical Foundations of Computational Anatomy
Project Area | Computational anatomy for computer-aided diagnosis and therapy :Frontiers of medical image sciences |
Project/Area Number |
21103002
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増谷 佳孝 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20345193)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井宮 淳 千葉大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10176505)
本谷 秀堅 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60282688)
|
Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 計算解剖学 / 数理工学 / 情報工学 / 応用数学 / 生体生命情報学 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究計画は、医用画像、特に臨床で扱われる多様な画像の頑健な理解に必要不可欠である計算解剖モデルの表現およびこれに基づく画像理解に関する数理的手法を対象としており、本年度も以下の3つの項目を中心に研究を行った。 (1) 解剖学的ランドマーク(LM)のCT画像におけるアピアランス、およびLM間の相互距離に関するモデリング、およびこれらに基づく検出の高度化、特にマルチモデル化(増谷) (2) アピアランスを含む点群モデルによる臓器形状の統計表現と、その領域抽出への応用(本谷) (3) 変分法に基づく形状の平均表現に関する理論構築と実証(井宮) (1)において、前年度に明らかになったLMの基本的性質の一つとしての曖昧性(uncertainty)の指標に基づく新規ランドマーク検索およびアピアランスモデル学習への応用、多様性の高いLMに対するアピアランスモデルのSpectral Clusteringによるマルチモデル化、およびアピアランス形状の最適化などを行い、検出性能向上が得られた。また、LM間距離モデルにおいてSparse性を考慮したモデリングを試みた結果、頑健性向上の可能性が示唆された。(2)においては、非剛体ICPアルゴリズムに統計的形状モデルを導入し、周辺臓器との接触や病変による形状の一部欠損などに対応した頑健な領域抽出を実現し、CT画像の肝臓形状を対象とした実験により、その有効性を確認した。(3)では形状統計に関する理論構築を目指して変分法により複数の形状画像の平均を計算する手法を構築している。本年度は形状をCT画像より得られた3次元の肝臓形状に適用し、実験による検証を行ったところ、単純平均や固有アピアランスパターンなどによる方法に対する優位性が確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3次元CT画像をはじめとする実際の臨床画像における適用など、現実の問題に則した理論や手法およびシステムの構築がなされている。我々の開発している理論やこれを実現する手法群は計算コストが高いが、GPGPUによる高速化を図り、臨床使用に即適用可能とは言えないまでも、数時間~1日程度の処理で実現可能なシステムとなりつつある。最終年度でのさらなる高速化および実用化に向けての各種理論、手法の高度化を行いたい。また、学理や数理理論に関しては初年度より徐々に進展があるものの、学問体系としての完成に相当するような明確な理論の構築には至っていない。しかしながら、これまでに様々な手法や理論の試行錯誤を含めた検討および調査を行う中で、現実の臨床における問題(例えば部分撮像問題や解剖学的破格に起因するモデルのトポロジカルなバリエーションなど)、その計算機的手法による解決によって派生する諸問題の分析を始めとして、これまでに議論されてこなかった重要な問題の明確化とその解法における数理的観点に基づく新しい理論の構築がされてきている。最終年度では、計算解剖学における数理理論の体系化や学理の構築を俯瞰的な視点から研究の大きな柱として取り組む必要がある。これについては分担研究者の追加によって対処する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請時の計画に沿って実際の臨床応用を視野に入れた理論、モデルおよび手法の構築を行っており、ほぼ期待通りの成果が得られていると考え、現行の方針を継続する。以下に2つの点からの具体的方策を記す。 1)実際の運用を視野に入れたシステムの構築 最終年度においては、臨床使用できるシステムおよびモデルデータベースの共有体勢を完了し、より包括的な手法およびシステムの評価を行う必要がある。実応用に則した多数のデータ使用による評価実験が行えるよう、各グループの実装した処理ソフトウェアを一括して実行できる環境づくりを柱として推進する。これは増谷グループ(東大病院)にて環境整備を行う。 2)新学術領域としての学理の構築 計算解剖学の新しい学問としての学理構築に向け、最終年度では新たに研究分担者として数学の研究者が参画し理論体系化や学理構築面での強化を図る。すなわち、これまでに検討を行った様々な手法の試行錯誤を通して得た現実の臨床における問題の計算機的解決によって派生する諸問題の分析において、これまでの工学的な観点からの評価に加え情報理論をはじめとする様々な視点からの評価を行い、理論の強化を行う方策をとる。これによって、これまでに議論されてこなかった臨床の問題の明確化とその数理的解釈の明確化に基づく新しい理論の構築が可能となる。
|
Research Products
(26 results)