2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Extreme quantum world opened up by atoms -towards establishing comprehensive picture of the universe based on particle physics- |
Project/Area Number |
21104004
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
旭 耕一郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80114354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉見 彰洋 理化学研究所, 偏極RIビーム生成装置開発チーム, 専任研究員 (40333314)
上野 秀樹 理化学研究所, 偏極RIビーム生成装置開発チーム, チームリーダー (50281118)
松尾 由賀利 理化学研究所, 櫻井RI物理研究室, 先任研究員 (50231593)
福山 武志 立命館大学, グローバルイノベーション研究機構, 教授 (40167622)
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Keywords | EDM / CP非保存 / Schiffモーメント / 反磁性原子 / スピンメーザー / 実験核物理 / 精密周波数計測 |
Research Abstract |
宇宙で観測される物質/反物質非対称性は現在の素粒子標準理論では説明できず、その枠組みを超える物理の存在が強く示唆される。その鍵であるCP対称性の破れの起源を見分ける重要な観測量として、永久電気双極子モーメント(EDM)が注目される。本研究では、超低磁場での発振が可能な新しいタイプのスピンメーザーである光検出・外部フィードバック型核スピンメーザーを、^<129>Xe原子のEDMに適用する。 平成23年度は、その前年度に達成したソレノイド電流高安定化のおかげで見えてきた、外部環境変動に由来するメーザー発振周波数の変動を抑えるため、実験室全体を覆う環境磁場打ち消し用コイルの設置を行った。併せて環境磁場モニターとその出力に基づき打ち消しコイルの電流を制御するフィードバック系を構築し、これにより、今まで存在していた1mG程度の遅く大きな変動を除去することに成功した。またこれらを含めた周波数変動要因の定量的解明を進めた結果、周波数と^<129>Xeセル温度との相関が観測された。これは温度によりRb磁化の変化が生じるためと考えられ、Rb数密度変動を抑えるべくセル温度を下げたところ、周波数と環境磁場間の明確な相関が観測された。上記の打ち消しコイルを作動させることにより、10h程度の測定時間で周波数精度δv=7.9nHzが得られた。またEDM測定に向けて、電極を付加したセルの開発を進めた。酸化インジウムスズ(ITO)を蒸着した透明電極を接着して作成した立方体型セル(空気封入)では、10kV(E=10kV/cm)まで放電することなく電圧印加が可能なことがわかった。但し、6kVまでは電極間のリーク電流がI_<leak><10pAに収まっているもののそれ以上の電圧で顕著な増加がみられ、リーク電流起因の磁場B_<leak>による偽のEDM効果が問題となってくる。現在、電極部の構造に関する検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書で述べた目標のうち、外部環境磁場由来の周波数変動の抑制、温度起源の揺らぎの軽減、フィードバック磁場機構の精密化、電場印加のための電極つきセルの製作・性能調査、EDM測定の試行は、ほぼ達成できた。EDMの理論的検討についてもQCD、原子構造、素粒子非標準模型の理論研究者を招いて研究会を開催し現在の理論研究状況の把握を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は環境磁場起源・温度起源以外の周波数変動要因の調査とそれへの対策が残っており、これをトータルに解決する方策として^3He核スピンを用いたco-magnetometerの構築を進める予定である。また電極つきセルを多数作って漏えい電流が少なく高電圧のかけられるものを作成するための条件を調査し実現することが望まれる。
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Research Products
(19 results)