2012 Fiscal Year Annual Research Report
Search for temporal variation of the fundamental constants by using single-ion optical clocks
Project Area | Extreme quantum world opened up by atoms -towards establishing comprehensive picture of the universe based on particle physics- |
Project/Area Number |
21104006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 和彦 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10335193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 歌子 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (20359087)
盛永 篤郎 東京理科大学, 理工学部, 教授 (90246687)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 物理定数 / 量子エレクトロニクス / 超精密計測 / 原子分子物理 / 高性能レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではYb+とBa+の単一イオン光時計を構築してそれらの周波数比を計測し、微細構造定数αの時間変化の検出を目指す。京都大学では、超微細構造のない偶数同位体174Yb+で、波長411nm 2S1/2-2D5/2時計遷移の単一イオン分光を進めた。時計遷移励起用レーザーの発振線幅を500Hzまで狭窄化し、分光スペクトルの幅を5kHzまで狭くした。分解能をさらに高めるために、環境磁場に対して鈍感な奇数同位体171Yb+の利用を進めた。波長435nm 2S1/2-2D3/2時計遷移励起用レーザーを線幅狭窄化し、単一171Yb+でこの時計遷移の励起を確認した。また、2台の光時計を比較して不確かさ評価を行うために、2台目の装置を単一174Yb+のレーザー冷却まで立ち上げた。Ba+では、波長1.76μm 2S1/2-2D5/2時計遷移励起用光源のパワーを増強するため外部共振器型半導体レーザーを作成し、時計遷移の励起を確認した。奇数同位体を冷却するレーザー群の整備を継続した。低パワーの半導体レーザーによる直接励起でYb:KYWレーザーをモード同期発振させ、長時間連続運転可能な光周波数コムの実現を目指している。その周波数制御に必要不可欠なオフセット周波数を検出した。 大阪大学では、蛍光集光効率の高い2次元型イオントラップにおけるレーザー冷却技術を確立し、Ca+イオンからの蛍光を従来型のトラップよりも高い集光効率で観測できることを確認した。東京理科大学では、開発した狭線幅半導体レーザーを用いて周波数に敏感な原子干渉計を構成し、狭窄化の基準に用いた光共振器の特性を評価した。縦置き型光共振器の共鳴に高速安定化した狭線幅半導体レーザーを新たに作成し、すでに開発したレーザーとのビートから、発振線幅が100Hz以下であり光共振器の熱膨張が22℃で0となることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Yb+の単一イオン分光は、偶数同位体では、特別な工夫をしないで得られるほぼ限界のスペクトル幅に達した。奇数同位体171Yb+では時計遷移スペクトル検出直前までに必要な全ての要素技術を確立した。あとは時計遷移励起用レーザーの周波数を正確に掃引するシステムを偶数同位体の場合と同様に構築すれば、単一171Yb+で基準スペクトルが得られる。また、低パワーの半導体レーザー励起で実現した1オクターブ光周波数コムでは、その周波数制御のために必要不可欠なオフセット周波数の検出技術を確立し、長時間連続運転可能な光周波数比計測システム実現へ大きく前進した。大阪大学と東京理科大学は要素技術を確実に発展させ、それぞれ、高い蛍光集光効率を確認し、発振線幅を狭窄化したレーザーの線幅の評価方法を確立した。同時に、蛍光の高速検出、ならびに時計遷移励起用レーザーの線幅狭窄化を中心に京都大学と技術協力をすすめ、研究目的の実現に向けて進捗を加速している。 全体としての研究の進展は当初計画よりやや遅れたものの、開発に困難が予想された要素技術を昨年度も着実に獲得することができた。これにより最終年度は順調な進展が予想されるため、評価を(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
磁場に対して周波数が鈍感な奇数同位体171の単一Yb+イオンを用いて、2S1/2-2D3/2、および2S1/2-2D5/2遷移の基準スペクトルを取得し、そのスペクトルにレーザーの周波数を安定化して光時計を構築する。同じ遷移を基準とする2台の光時計を構築し、それらの比較から周波数の不確かさを評価する。微細構造定数αの時間変化に対する感度がもっとも高いが、スペクトル幅が極端に狭く励起が困難な2S1/2-2F7/2遷移についても、発振線幅のきわめて狭いレーザーを開発し光時計を構築する。Ba+イオンでは、偶数同位体で波長1.76μm 2S1/2-2D5/2遷移の単一イオン光時計を構築する。レーザー冷却が非常に難しいが、もっとも小さな不確かさが期待される奇数同位体の研究も進め、波長2.06μm 2S1/2-2D3/2遷移で光時計構築を目指す。また、これまでに比較的小さいパワーの半導体レーザーによる励起で、スペクトル幅1オクターブの光周波数コムを実現した。このコムの周波数制御技術を確立し、基準遷移の異なる2台の光時計の周波数比を長時間連続測定するシステムを開発する。 大阪大学では、高集光効率の2次元型のイオントラップを用いてCa+イオンの2S1/2-2D5/2時計遷移を観測し、スペクトル検出の高速化と光時計の安定度向上への寄与を評価する。東京理科大学では、2台の線幅狭窄化レーザーのビートを用いて線幅を評価し、Hz線幅実現を目指して振動除去や制御法の改良を行う。 両大学で開発される技術を京都大学へ適宜移転して光時計の周波数安定度と不確かさを向上させながら、周波数比を繰り返し測定し、その時間変化からαの時間変化を探査する。
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[Presentation] Progress report on development of Yb+ and Ba+ optical clocks for search for temporal variation of the fine structure constant2013
Author(s)
Y. Imai, M. Mitaki, T. Uehara, T. Nishi, Y. Hara, T. Momiyama, Y. Ideta, H. Fujisaki, S. Higashitani, M. Kitano, and K. Sugiyama
Organizer
NICT Workshop on the Optical Frequency Standards
Place of Presentation
情報通信研究機構(東京都小金井市)
Year and Date
2013-02-07
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