2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
21106003
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
柳 日馨 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (80210821)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 高英 大阪府立大学, 理学系研究科, 准教授 (60332962)
植田 光洋 大阪府立大学, 理学系研究科, 助教 (60566298)
|
Keywords | 臭化ラジカル / ジエン / 三成分連結反応 / ホルムアルデヒド / ヒドロキシメチル化 / アルコキシラジカル / マイクロフロー反応 / ブロック共重合 |
Research Abstract |
有機合成化学において個々の活性種の効率的制御の重要性は論を待たないが、個々の活性種にもとづく反応の集積化は合成プロセスの高度化に直結する。本研究では特にラジカル反応の集積化法の開拓をめざし研究を展開しているが、平成23年度においては以下のような成果を得た。臭素ラジカルをメディエーターとするアレンへの位置選択的プロモアリル化反応を三成分連結系反応に発展させた。すなわち二種のアクセプターとなるアルケンのひとつを臭化アリルとすることで、ラジカル連鎖型の三成分連結反応を達成した。生成物として得られた1,7-ジエンはビニル臭素ユニットを有しており、さらなる炭素-炭素結合形成に供することができた。一方ホルムアルデヒドのラジカル反応は30年以上研究例がなく、合成化学的な利用は困難と考えられて来た。しかしホルムアルデヒドのラジカル反応にシアノボロヒドリド種との組み合わせが有効である事を初めて明らかにするとともにこれを有機ハロゲン化物のヒドロキシメチル化反応に活用した。炭素ラジカルのホルムアルデヒドへの付加により、中間体として生じるアルコキシラジカルからの環化反応の生起も確認した。さらにマイクロリアクターの高い熱効率に期待し修飾TEMPOを有するマロネートを開始剤とし、スチレンとアクリル酸ブチルとのブロック共重合反応をフロー系で行った。その結果、平均分子量16300で分子量分布の狭い(PDI=1.26)ブロックポリマーが得られバッチ反応系に対する反応効率の優位性を示すことが出来た。また5員環形成のための光ラジカル環化反応を低出力光源を用いたマイクロフロー型反応装置で実施することにも成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
臭素ラジカルをメディエーターとするアレン類の反応開発の中で、難度の高い二種のオレフィンを組み合わせた探索研究が迅速に遂行された結果、効率性の良い三成分連結型反応が予定よりも早く見いだされた。その一般性についても検証できたことから、現在、その成果を投稿準備中である。またフロー系のラジカル反応の研究も大きく進展した。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度までには臭素ラジカルをメディエーターとする1,7-ジエンや、1,4-ジエンや1,5-ジエンの合成法の開発に成功していることから、1,6-ジエンの合成法も達成させ、一般性のあるジエン類の合成法として確立させる。またホルムアルデヒドのラジカル反応で達成させた成果をもとに各種アルデヒドへのラジカル反応への展開を行なう。さらに連続フロー系でのラジカル反応を検討する。
|