2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
21106007
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
関根 光雄 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (40111679)
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Keywords | 修飾RNA合成 / 固相合成法 / マイクロフロー合成 / 相間移動触媒反応 / 塩基対形成能 / 塩基識別能 / Activator 42 / 分子動力学的解析 |
Research Abstract |
本研究では、多種多様な要求に答えられる高度に機能化した革新的人工核酸を固相法で効率よく高純度で合成する手法の確立を目指し、研究をおこなうものである。そのために、平成23年度では、核酸塩基部や糖部に機能増強を図り、アンチセンス核酸を基盤とする最適な修飾人工核酸を種々合成し、それらの機能を評価し、様々な用途に応用し、有用性を明らかにすることを目指した。その結果、本年度は筋ジストロフィー治療薬である2'-O-[2-(N-メチルカルバモイル)エチル]-RNAのホスホロチオエート体をはじめ、アデニル化されたDNAやTMGキャップ構造をもつRNAなどを連続的固相合成によって合成を達成できた。また、アンチセンス核酸として筋ジストロフィー治療薬として有望である2'-O-[2-(N-メチルカルバモイル)エチル]-RNAのホスホロチオエート体を下記の固相合成によって合成に成功し、モデルマウスによる実験によって、エキソンスキッピング活性があることを見いだした。この核酸医薬の重要な中間体である3',5'-O-(1,1,3,3-テトライソプロピルジシラン-1、3-ジイル)ウリジンの合成をマイクロフロー系の二相系のシステムを用いて、わずか0.14秒という極めて短い時間で反応を完結することができた。さらに、ヌクレオシドのホスホロアミダイト誘導体を1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾールと反応させると、リンの転位反応を含む反応が起こり、トリエステル型の活性エステルに変換される知見を利用し、別途固相合成で合成した5'-末端がホスホリル化されたDNAオリゴマーに対して反応させたところ、アデニル化されたDNAオリゴマーとTMGキャップ構造をもつRNAオリゴマーを連続的固相合成により合成した。また、チオカルボニル基を含有した塩基を導入したRNA誘導体の合成にも成功し、中性条件下でもDNAに強く結合できることを世界で初めて示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アンチセンス核酸として、新規な核酸医薬の開発を目指していたが、とくに、2'-O-[2-(N-メチルカルバモィル)エチル]-RNAのホスホロチオエート体の合成に成功し、この30量体が筋ジストロフィンの治療薬としての目安となる極めて強いエキソンスキッピング活性をもつことが明らかにすることができた。これは画期的な成果である。この核酸医薬の中間体も全く新しいマイクロフローシステムによって効率良く合成できることも見いだした。塩基部位にチオカルボニル基を導入することで優れたDNA結合能をもつ新規三重鎖形成核酸の創成に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2'-O-[2-(N-メチルカルバモイル)エチル]-RNAのホスホロチオエートの30量体の塩基部位に化学修飾することで、もっと強力にジストロフィンのエキソン部位に結合できるアンチセンス核酸の合成を設計し、実際にこの合成に必要なモノマーユニットを作り、30量体のオリゴマーを合成し、そのエキソンスキッピング活性を調べる予定である。また、TMGキャッップ構造をもつRNAオリゴマーの効率的固相合成法の確立を検討する。さらに、三重鎖核酸のさらにDNA二重鎖に対してより強力に結合できるものを検索する。
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Research Products
(10 results)