2012 Fiscal Year Annual Research Report
Generation of Novel Aromatic Compounds by Controlled Reactions of Accumulated Alkynes
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
21106011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
戸部 義人 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60127264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 一邦 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40432463)
梅田 塁 関西大学, 工学部, 助教 (70467512)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 反応集積化 / 芳香族化合物 / 渡環環化反応 / インデノフルオレン / ジインデノピレン / 一重項ビラジカル性 |
Outline of Annual Research Achievements |
同一時空間反応集積化の概念に基づき、共役アセチレン化合物における近接アセチレンの渡環環化を用いることにより、光電子的機能の観点から興味がもたれ、しかも他の方法では合成困難な新奇多環状芳香族化合物の合成を行うことが本研究の目的である。具体的には、テトラエチニルナフタレンからのジインデノピレン誘導体への変換と、インデノフルオレン関連多環状芳香族炭化水素の合成と物性に関する研究を行った。 1,8-ジエチニルナフタレンには異なる種類の求電子環化様式を示すことが最近報告されているが、1,4,5,8-テトラエチニルナフタレンの求電子環化を検討したところ、求電子性の高い条件下では目的とする中程度の一重項ビラジカル性を有するジインデノピレンが生成することがわかった。しかし、たとえばヨウ素を用いた場合には、ラジカル的な触媒機構を経たと思われるアズレン骨格への変換が起こることを見出した。 我々が見出したデヒドロベンゾ[14]アヌレンへの求核攻撃により誘起される連続渡環環化と二量化によるインデノフルオレン二量体の形成にヒントを得て、インデノフルオレンの特異な二量化反応を利用し、ねじれたシクロロクタテトラエン骨格を有する新奇な共役系の合成を行った。すなわち反応系中で発生させたブルモインデノフルオレンが二量化し、過剰の塩基により脱臭化水素化されることにより、新奇な多環状シクロオクタテトラエンを得ることに成功した。さらにその発展として、一重項ビラジカル性を有するインデノフルオレンの安定な誘導体の合成と物性調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1,4,5,8-テトラエチニルナフタレンの時空間集積型の求電子環化により中程度の一重項ビラジカル性を有するジインデノピレンが生成することがわかった。デヒドロベンゾ[14]アヌレンへの求核攻撃により誘起される連続渡環環化と二量化によるインデノフルオレン二量体の形成にヒントを得て、意図的に発生させたインデノフルオレンの特異な二量化反応を利用することで、ねじれたシクロロクタテトラエン骨格を有する新奇な共役系の合成を行い、研究の新たな発展の可能性が示唆された。さらに研究を安定化された一重項ビラジカル性分子の合成と物性研究へと展開することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
テトラエチニルナフタレンの二重渡環環化によりジインデノピレンをより高効率に合成するため、フロー反応システムの利用を検討する。高反応性インデノフルオレンの[4+4]二量化反応により、ねじれたシクロオクタテトラエン構造を有する二量体の誘導体を複数合成し、構造や物性さらには酸化的分子内C-C結合形成により、巨大な平面共役系分子への誘導を行う。大きなビラジカル性を有するインデノフルオレン類縁体を立体保護により安定化した誘導体を合成し、その構造やビラジカル性に起因する特異な物性の解明を行う。
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