2010 Fiscal Year Annual Research Report
集合化を特徴とする動的酸化還元系分子の集積合成:次元的秩序性の外部刺激制御
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
21106012
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 孝紀 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70202132)
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Keywords | 酸化還元 / 応答性 / 集積合成 / 外部刺激制御 / 次元性 |
Research Abstract |
本年度は、非対称置換したヘキサフェニルエタン型電子供与体の動的酸化還元挙動に基づく三色エレクトロクロミズムのヒステリシスをテーマとして研究を展開した。 電位の入力に対応して物質の色調が変わる現象は「エレクトロクロミズム」と呼ばれ、調光材料や表示機能への応用が期待されている。これまでの、9,9,10,10-テトラアリール-9,10-ジヒドロフェナントレン型電子供与体についての研究から、その酸化還元に際するビフェニル型ジカチオンとの相互変換は、ビフェニル型カチオンラジカルを共通の中間体として進行することが明らかにされている。これは、4つのアリール基がすべて等しい化合物を用いた場合、どのような中間体も有意な濃度で存在せず、ジヒドロフェナントレン型電子供与体とビフェニル型ジカチオンのみが関与するエレクトロクロミズム系となることを意味する。 一方、9-及び10-位に電子的特性の異なるアリール基が置換した9,10-ジヒドロフェナントレンと対応するビフェニルジイルジカチオンの相互変換では、還元段階でのみカチオンラジカル中間体が有意な濃度で生じるため、ヒステリシスを伴う三色エレクトロクロミズムを示す。このような色調変化は他に類を見ないものであり、特異な応答性として興味深い。但し、非対称に置換されたジカチオンの前駆体となる、2種類のアリール基が導入されたジオールの合成を従来のバッチ型反応で行うと、対象型化合物や一置換体を含む複雑な混合物となり、目的物の分離精製が困難という問題点があった。本年度は、その非対称に置換されたジオールの合成法についても詳細な検討を加え、フローマイクロリアクターによる集積合成が非常に有効であることが実証された。
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Research Products
(5 results)