2009 Fiscal Year Annual Research Report
有機磁性材料の構築を目指したポリジアゾ化合物の集積合成
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
21106013
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
北川 敏一 Mie University, 大学院・工学研究科, 教授 (20183791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 克幸 三重大学, 生命科学研究支援センター, 准教授 (80208793)
岡崎 隆男 三重大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90301241)
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Keywords | ジアゾメタン / 三重項カルベン / クロスカップリング / ポリカルベン / 有機強磁性体 / 強磁性相互作用 / 立体効果 / 光脱窒素化 |
Research Abstract |
多数の三重項カルベン分子を互いに強磁性相互作用するように連結すれば,有機強磁性体につながる高スピンポリカルベンが実現できると期待される。本研究では,実用的な強磁性材料となるポリカルベンを構築するために,個々の三重項カルベンユニットの安定化の検討を進めた。三重項カルベンは元来極めて不安定な化学種であり,2個のフェニル基で共鳴安定化されたジフェニルカルベンでも寿命はわずか2μsである。以前我々は,ジフェニルカルベンの四つのオルト位にブロモ基を導入すると立体保護効果のために半減期が16秒まで伸びることを見出した。ここではさらに立体効果の大きなヨード基を導入したジアゾメタンを合成し,光照射により発生する三重項カルベンの特性を評価した。 ヨード基の立体効果を最大限に発揮させるには,ジフェニルカルベンの四つのオルト位をすべてヨード基で置換するのが望ましいが,カルベン前駆体であるジアゾ体の合成が立体障害のため著しく困難になる。このため本年度は,まず2個のヨード基と2個のブロモ基を持つジアゾ体を合成した。このジアゾ化合物への光照射により発生する化学種の分光学的特性化,捕捉剤との反応速度,捕捉生成物の分析を行い,この化学種がジアゾ体に対応した構造をもつ三重項カルベンであることを確認した。その減衰は非常に遅く,室温での半減期は24秒であった。この結果から,ヨード基の立体効果がカルベンの長寿命化に有効に働くことが示された。
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