2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Coordination Programming - Science of Molecular Superstructures for Chemical Devices |
Project/Area Number |
21108005
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉本 惣一郎 Kumamoto University, 大学院・先導機構, 特任助教 (30323067)
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Keywords | 自己組織化 / 走査型プローブ顕微鏡 / 表面・界面物性 / ナノ材料 |
Research Abstract |
配位プログラミングによる化学素子へ展開するためには,精密に構造が制御されたプラットフォームを作製することが重要となる.本研究課題では,電極表面上でのポルフィリンやフタロシアニン,フラーレンといった機能性有機分子の階層的な組織化膜の作製とそこから発現される機能に関して,単結晶電気化学をベースに電気化学走査型トンネル顕微鏡(EC-STM)を用いてナノレベルの構造評価を行うことが目的である.初年度の平成21年度は,新規に導入する電気化学STMのナノレベル観察を可能とするため,それに合わせたセル周りの改良が必要であり,特にオリジナリティのある単結晶電極の固定化に合わせてセル内の溶液量を設計し,装置への最適化を計るための試作を進めた.一方で既存の装置を使い,ビスターピリジン誘導体を用いて金属配位結合を利用した電極表面の機能化について検討を進めた.その結果,ビスタ-ピリジン誘導体は,単独で金(111)表面に吸着したときには隣り合う分子間のピリジン環のN原子と水素原子との水素結合の形成により,規則的な2つの配向性を持った規則的な2次元構造体が形成された.この構造は酸性溶液中で観察したにもかかわらず,電位に対しても安定であったことから,電極表面で一度形成された構造(水素結合)が酸性中でも安定であることを示している.さらに,コバルトイオンや鉄イオンを共存させて吸着を行ったところ,一見不規則な吸着状態が観察されたが,高解像STM像からターピリジン誘導体分子間に明るいスポットが観察された.これは間に挟まったコバルトイオンや鉄イオンだと考えられ,酸性溶液中での電気化学的な酸素還元反応の測定から,コバルトポルフィリン修飾電極と同じような2次元表面で錯形成が生じていることを示唆する結果が得られた.このように,電極界面で金属イオンを介したナノ構造体を直接作製可能であることが見出された.
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Research Products
(2 results)