2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Coordination Programming - Science of Molecular Superstructures for Chemical Devices |
Project/Area Number |
21108005
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉本 惣一郎 熊本大学, 大学院・先導機構, 特任助教 (30323067)
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Keywords | 表面・界面物性 / 走査型プローブ顕微鏡 / 自己組織化 / ナノ材料 |
Research Abstract |
本研究課題では,電極表面上でのポルフィリンやフタロシアニン,フラーレンといった機能性有機分子の階層的な組織化膜の作製とそこから発現される機能に関して,単結晶電気化学をベースに電気化学走査型トンネル顕微鏡(EC-STM)や原子間力顕微鏡(AFM)を用いてナノレベルの構造評価を行うことが目的である。配位プログラミングによる化学素子へ展開するためには,ナノレベルで精密に構造や配向が制御された分子の配置,あるいは階層構造を形成するためのプラットフォームの作製は重要である。ビルディングブロック配位子として2位に窒素原子を有するテトラピリジルポルフィリンの表面2次元組織化に関するEC-STM測定を進めた。中心金属の亜鉛イオンを介した階層的な配位結合が期待されたが,基板表面との相互作用が強く電極電位による制御が困難であった。しかし酸性溶液中でプロトン化させてピリジニウムポルフィリンとして溶解することで,ピリジニウム環を交互に配向させた特徴的な2次元組織化膜が電極電位によって制御されることを見い出した。さらに多環系芳香族炭化水素単分子膜を利用したチオール分子の孤立化・パターンニングにも取り組み,オバレン分子について電気化学的なポテンシャルによって形成される特徴的な繰り返し構造がチオール1分子だけを吸着できることが明らかになってきた。この系は,規則的な間隔を有する3次元配位結合を可能とするプラットホームとして期待される。一方,昨年度導入したAFMを用いた基板表面上での白金錯体ペプチドの組織化,薄膜評価を進めた。ペプチド部位の構造によって,1次元的な組織体や環状の組織体など錯体の化学構造を反映した特徴的な組織化が生じることが明らかとなった。このように,EC-STMおよびAFMによる評価によって,ポルフィリンの2次元配向膜の作製とペプチド錯体の構造体の形成・薄膜形成が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の計画では基板表面上への2次元的な金属配位結合を形成することを目標の一つに掲げていたが,スタートした当初から世界の競合グループから相次いで研究成果が発表され,ドライプロセス(真空中)による研究が先行した。一方,そのような状況下で溶液プロセスからの2次元MOFsの作製を試みたが,本研究に用いたピリジン官能基を有するポルフィリンなどの化合物群では形成された2次元ナノ構造の安定性に欠け,規則的な構造形成の可能性は示唆されているものの特に水溶液中(電気化学界面)では構造が崩れるなど,観察環境が限定されることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
表面における金属配位結合はその結合様式,金属イオンの種類に応じて「2次元での配位結合」の安定性が明らかになってきたため,電気化学環境下での測定にこだわらず,大気中,あるいは低真空下にて2次元MOFsの作製評価を継続する。一方で,より安定なオバレンやジコロニレンなどの芳香族炭化水素分子の単分子膜構築を利用し,その隙間のサイトを利用した種々の末端官能基を有するチオール分子の孤立吸着系への展開を進める。さらに希土類イオンが配位したダブルデッカーポルフィリン錯体の孤立した単分子膜作製を進め,酸化還元反応の電気化学的な制御を試みる。配位部位の配向制御・3次元パターンニングのための精密プラットホーム作製,分子の回転制御をナノレベルで解析することで,化学素子への可能性を探る。
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Research Products
(16 results)