2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Coordination Programming - Science of Molecular Superstructures for Chemical Devices |
Project/Area Number |
21108013
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
小松 晃之 中央大学, 理工学部, 教授 (30298187)
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Keywords | 蛋白質 / ナノチューブ / 金属ナノ粒子 / 交互積層膜 / 電子顕微鏡観察 / 酵素 / 抗体 / ウイルス |
Research Abstract |
生命現象の根幹を支配し、多彩な機能をつかさどる蛋白質を機能材料創製の基本ユニットとして用いる戦略は、合理的な分子設計の一つであり、バイオナノテクノロジーのフロンティアといえる。本研究は、蛋白質や金属ナノ粒子を所望の序列で階層的に組織化する方法(鋳型内交互積層法)により中空シリンダー構造のナノチューブを構築し、その管壁や一次元内孔空間を利用した新しい機能の創出、さらにはそれらを基板と融合させ、従来に類例のない機能分子システムを創製することを目的としている。平成22年度から研究代表者が中央大学・理工学部へ異動したが、計画の推進に支障はなく、益々強力な体制で研究を継続している。 1.ナノチューブ管壁階層構造の解析 これまで蛋白質ナノチューブの内部構造はTEM(共有)により解析してきたが、既存のFE-SEMに透過電子(STEM)検出器(設備備品)を導入することで、実験の効率を大幅に向上させた。さらに、Dr. Christoph Bottcher(Free Univ. Berlin・海外研究協力者)の参画を得て、Cryo-TEMによる構成蛋白質分子の直接観察に初めて成功した。 2.ハイブリッドナノチューブの合成と機能 再内層に酵素(α-グルコシダーゼ)を配置したナノチューブの内孔では、糖の加水分解が生起することを明らかにした。また、フェリチンやコバルトフェリチンからなるナノチューブを熱処理し、蛋白質成分を完全に焼成除去すると、金属酸化物のみかなるナノチューブが得られることを見出した。金ナノ粒子/高分子電解質の組合せでナノチューブの調製に取り組んでいるが、さらなる条件の最適化が必要である。一方、抗体を再内層に配置したナノチューブを精密合成し、感染能力のあるヒトB型肝炎ウイルス(Dane粒子)を高い効率で取り込ませることに成功した。この成果は、英国王立化学会の会誌"Chemistry World"でニュースとして取り上げられた。
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