2010 Fiscal Year Annual Research Report
階層分子プログラミングによる機能性有機・無機複合材料の開発
Project Area | Coordination Programming - Science of Molecular Superstructures for Chemical Devices |
Project/Area Number |
21108014
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 典史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (10346819)
|
Keywords | 超分子化学 / 自己集合 / ハイブリッド / 階層構造 / プログラム |
Research Abstract |
本申請課題は、配位結合性低分子ゲル化剤を有機物と無機物のエピタキシアル成長剤として用いることでレドックス特性やスピン、光磁気特性などの無機物に由来する特徴と、成膜性や加工性に富む有機物とりわけ高分子的な特徴を併せ持つ機能性有機/無機複合材料群の創成を目的としている。 研究課題遂行の途上、安定な酸化還元活性分子として知られている有機金属化合物として、フェロセンを利用した配位子、あるいは自己集合性オリゴマーもしくはポリマーを設計したところ、高次な分子集合体が得られたことを示唆する結果が得られた。この現象は、事前分子設計による有機元素と無機元素のハイブリッドからなる分子集合体を与えるものであり、本研究課題に強く合致する物であるため、関連研究として新たに進めることとした。現在までに得られている結果を記す。 自由回転ユニットを有するフェロセンを用いた、多関節オリゴマーの合成と刺激応答機能 フェロセンを構成するシクロペンタジエニル配位子2枚は中心金属である鉄(II)イオンを中心として、ほぼ自由回転をしている。フェロセンを回転子と見なし、複数のフェロセンを剛直な分子構造で架橋した分子は、折り尺状の動きをする多関節分子になると予想される。ジアセチレンを架橋構造に用いた両親媒性フェロセン4量体を設計した。この化合物について、極性の異なる溶媒中での挙動を紫外可視分光法をもちいて系統的に比較したところ、溶媒極性に対する顕著なスペクトル変化と明瞭な等円二色性点が観測された。温度や濃度依存性から得られた結果とあわせて、溶液中において、緩和構造から収縮構造への分子内構造変化と、収縮構造の分子集積化が強く示唆された。引き続き、比較化合物として、2量体、8量体、環状構造を有する類縁体との比較を行う予定である。
|
Research Products
(3 results)