2012 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Functional Organic and Inorganic Materials through Hierarchical Molecular Programming
Project Area | Coordination Programming - Science of Molecular Superstructures for Chemical Devices |
Project/Area Number |
21108014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 典史 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (10346819)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 金属錯体 / 自己集合 / ナノチューブ / フェロセン |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では、2005-2007年度に参画した特定領域研究”配位空間の化学“で得た知見を基に、電子的・光学的に多様な性質を持つ多孔性遷移金属錯体を低分子ゲル組織内に導入し、物理的・化学的な外部刺激誘導体に応答するソフトマテリアルを創成することを目的としている。配位結合性低分子ゲル化剤を有機物と無機物のエピタキシアル成長剤として用いることでレドックス特性やスピン、光磁気特性などの無機物に由来する特徴と、成膜性や加工性に富む有機物とりわけ高分子的な特徴を併せ持つ機能性有機/無機複合材料群の創成を目的とした。 本年は、1,1’,3,3’位にピリジル基を含む置換基を取り付けた4置換フェロセンを配位子とし、銀(I)イオンとの錯形成により、自己集合性ナノチューブが一挙に組み上がること、その構成単位が大環状構造であることを明確に示た。2つのシクロペンタジエニル環上の1,1’,3,3’位に置換基を有する4置換フェロセンは、置換基に関する狭角が144度である。このような置換様式を有する4置換フェロセン配位子と180度の結合角を有する金属錯体との錯形成にり、配位子10分子と金属錯体20分子からなる巨大環状化合物が形成されると考えられる。実際に両者を混合したところ、直径が均一でかつ、上記の成分数からなる大環状構造にほど一致したナノチューブ構造が透過型電子顕微鏡写真により明確に観察することができた。さらに、チューブ形成後にそのフェロセン部位を酸化すると、チューブ構造が崩れ、生成した大環状構造を原子間力顕微鏡でとらえることに成功した。すなわち、本系で生成する自己集合性ナノチューブは、大環状構造を単位としていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ナノチューブ構造の生成を明確にとらえ、その構成要素を当初の分子設計どおり大環状構造であることを決定することができた。さらに、ナノチューブ構造と大環状構造を酸化・還元により可逆的に変換するという期待以上の機能を見いだすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノチューブを構成する配位子の分子設計に一般性はあるのか、フェロセン以外のメタロセンを用いてもナノチューブを形成することは可能か、不斉アニオンを用いてナノチューブ上にキラリティーを転写できないか、ということを包括的に進めたい。
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