Research Abstract |
本研究では,従来にはなかった「電界」「磁界」「高速度の電子やイオン」との相互作用が液相化学反応場に導入でき,新奇な化学反応と合成物質が期待される多相媒質中でのプラズマ生成とその応用に関する研究を遂行している. 昨年度に開始した応用面である多相カーボンナノチューブの表面修飾では,具体的に処理された物質が有益な効用を有するのかをまだ明らかにしていなかった.そこで,本年度は,具体的に,汎用プラスチックの一種であるナイロン(ポリアミド6)の成形時の原料粉体に処理されたナノチューブ粉体添加する実験を実施した.その際に機械的・熱的特性が向上することを確認した. また,昨年度から引き続き利用している一対の電極間の放電には,ランダムな形状となる気泡(反応場)の形状の揺らぎが大きい,気泡発生に至らない領域に電流が流れることによるジュール加熱効率の低下,プラズマと液相の相互作用が行われる界面が大容量の液体に比べるとあまりにも少なすぎる,という問題があった.そこで,本年度は,こうした問題を解決する手段として,多孔質誘電体媒質と平面誘電体電極との界面を利用したマイクロソリューションプラズマとも言うべきプラズマ生成法を提案し,その放電特性,集積化による大面積化の可能性,具体的な液体処理への応用,について研究を行った. 更に,こうした液体中の気泡内での放電を用いたプロセスが将来的に実用化すれば,その「設計」が必要になると考え,モデル化とシミュレーションにも着手した.具体的には,ジュール加熱による気泡の成長過程のモデル化とシミュレーションを実施し,気泡成長の模擬が可能となった.
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