2011 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙マイクロ波背景放射偏光測定で探る超高エネルギー物理
Project Area | The Physical Origin of the Universe viewed through the Cosmic Background Radiation - from Cosmological Inflation to Dark Ages - |
Project/Area Number |
21111002
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
羽澄 昌史 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (20263197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 哲也 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (50222394)
都丸 隆行 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 研究機関講師 (80391712)
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Keywords | 宇宙背景放射 / インフレーション / 重力波 |
Research Abstract |
インフレーション宇宙の検証は、現代宇宙論の最大の課題である、本計画は、インフレーションの直接の証拠となる原始重力波の検出を目的とする。原始重力波が宇宙背景放射(CMB)に残した特殊な偏光パターンを「犯人の指紋検出」のように見つけるという「CMB偏光Bモード法」を用いる。プロジェクトとしては、チリ・アタカマ(標高約5000メートル)における観測実験QUIETとPOLARBEAR、および将来の小型科学衛星LiteBIRDの設計と開発の三項目を推進する。以下に各項目に関する平成23年度実績を記載する。 QUIET:Qバンドの観測結果がAstrophysical Journalに掲載された。アップグレードのための検出器試験システムを完成し、論文発表した。アップグレードのためのADCシステムの開発を完成し論文発表した。 POLARBEAR:一号機をチリに移設し、2012年1月より観測開始した。現地でのコミッショニング、観測シフトの三分の一をKEKメンバーで占めるなど活躍した。KEKが主導するレシーバー二号機のデザインを推進した。焦点面クライオスタットを製作し、真空試験を完了した。 LiteBIRD:前年度までに進めた衛星の概念設計に基づき、JAXAのエンジニアと成立性の検討を行い、多くのフィードバックをかけ、より実現性の高い概念設計へ発展させることに成功した。 以上に加えて、平成23年4月以降に繰越予算により、光学シミュレーションおよびCADにより最適なデザインを完了させ、レンズおよび断熱真空槽の製作をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
QUIET実験の初期観測結果を予定通り発表できた。データの一部のみ用いたにもかかわらず、世界第2位の感度を実現した。全体にわたり本領域の研究者がリーダーシップを発揮し、国際会議においてもQUIETを代表して発表を行っている。 POLARBEAR実験はカリフォルニアでの予備観測を終えて2012年1月よりチリでの本観測を開始した。研究期間内に高統計の原始重力波探索結果を論文投稿できる予定である。さらに、米国側の予算で新たに望遠鏡を追加できることになり、受信機システム(POLARBEAR2)を本領域が担当することとなった。予定通りいけば、これは当初の予定を超えたエクストラサクセスとなる。 人工衛星LiteBIRDの設計研究も順調に進行し、米国の研究者も含め50人を超える研究者が参加している。研究会等で多数の口頭発表を行っている。計画研究A02との連携で、衛星搭載のための超伝導検出器のフィールドテストのプラットフォームGroundBIRDの作成に着手した。これは衛星のプロトタイプとしても機能させ、一石二鳥を狙うデザインとなっている。これも提案時より高いレベルの連携のアイディアである。 以上から、研究はおおむね順調に進展していると結論できる。
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Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災においては本計画研究の中心機関であるKEKも大きな被害を受けた。またQUIET実験の実験代表者であり本領域の研究協力者であるシカゴ大のブルース・ウィンシュタイン教授が2011年2月に死去した。このため、米国側で新しいリーダーシップを築くことが必要となり、また、アップグレード計画については、予定変更を余儀なくされた。これらの予期せぬ問題にもかかわらず、研究は概ね順調に進展しており、計画研究設定時の目的を達成できると期待される。複数望遠鏡設置という当初の予定を超えたエクストラサクセスも狙っており、予定を超えた成功の可能性がある。しかしこれは研究者が行うタスクが増加していることも意味している。このような状況では、タスク過多によるミスの増加、計画の遅れというリスクが増大する。また、研究予算的にもぎりぎりの状況である。従って、ミスを減らしてプロジェクトを成功に導くこと、予算とスケジュールのより徹底した管理をおこなうこと、を実行していく。各プロジェクトの具体的目標を以下に列挙する。 1)QUIETの2010年までに修得した全データの解析を終わらせ結果を発表する。 2)POLARBEAR実験の観測を成功させ、研究期間内に高統計でのBモード探索結果を発表する。POLARBEAR-2のレシーバーシステムの建設を完了する。 3)LiteBIRDの概念設計を終了させ、成立性を確保する。地上での実証実験および計画研究A02との連携による超伝導検出器の試験用テストベンチとしてGroundBIRDを開発し、テスト観測を行う。
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Research Products
(55 results)
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[Journal Article] Novel Frequency-Domain Multiplexing MKID Readout for the LiteBIRD Satellite2012
Author(s)
K. Hattori, S. Ariyoshi, M. Hazumi, H. Ishino, A. Kibayashi, S. Mima, C. Otani, N. Satoh, T. Tomaru, M. Yoshida, H. Watanabe
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Journal Title
J Low Temp Phys
Volume: 167
Pages: 671-677
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Development of Superconducting Detectors for Measurements of Cosmic Microwave Background2012
Author(s)
K. Hattori, M. Hazumi, H. Ishino, M. Kawai, A. Kibayashi, N. Kmura, S. Mima, T. Noguchi, T. Okamura, N. Sato, O. Tajima, T. Tomaru, H. Watanabe, M. Yoshida
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Journal Title
Physics Procedia, proceedings of Technology and Instrumentation in Particle Physics
Volume: 37
Pages: 1406-1412
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] POLARBEAR2011
Author(s)
松村知岳
Organizer
新学術領域シンポジウム2011
Place of Presentation
宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所(相模原)
Year and Date
20110711-20110712
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[Presentation] QUIET2011
Author(s)
長谷川雅也
Organizer
新学術領域シンポジウム2011
Place of Presentation
宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所(相模原)
Year and Date
20110711-20110712
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