2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Elucidation of Common Mechanisms for Allogeneic Authentication in Animals and Plants |
Project/Area Number |
21112008
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森 稔幸 早稲田大学, 高等研究所, 助教 (00462739)
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Keywords | 植物 / 生理学 / 生殖 / 発生 / 配偶子 / 受精 / 花粉 / 膜融合 |
Research Abstract |
本研究の目的は、植物受精の分子メカニズムを解析する中で動物受精にも共通する機構を見出し、生物受精の中核的な共通システムを明らかにすることを目的としている。これまでの研究成果として見いだされた高等植物受精因子GCS1(GENERATIVE CELL SPECIFIC 1)は花粉内の雄性配偶子表面で特異的に発現する新規の膜貫通型タンパク質であることが示されており、高等植物の配偶子融合がタンパク質分子によって決定づけられていることを明らかにした世界初の分子である。興味深いことに、GCS1は高等植物のみならず、原生生物(藻類、アメーバ、マラリア原虫など)・無脊椎動物(節足動物・刺胞動物など)にも保存されていることが分かっている。平成23年度は、GCS1の発見に至った植物であるテッポウユリの花粉生殖細胞(雄原細胞)の全発現遺伝子について、次世代シーケンサーを用いたmRNAの網羅的解読を完了した。本データベースを基にした遺伝子検索エンジン(BLAST)も構築し、テッポウユリ雄性配偶子の全カタログから遺伝子検索が可能となった。また、シロイヌナズナ受精変異株より検出された、雄性配偶子受精因子Y47の特徴解析を進めたところ、同分子はGCS1と同様の明瞭な細胞膜局在を示すことがわかった。一方共同研究として、東京大学・野崎久義准教授らと緑藻ゴニウムの生殖機構の解析を開始した。D-cAMPなどの試薬添加により、ゴニウムの雌雄配偶子分化が効率よく誘導されることがわかった(論文印刷中)。ゴニウムGCS1のリコンビナントタンパク質の合成・精製が完了したため、同分子に特異的な抗体を作製し、ゴニウムGCSIの動態解析や新たな受精因子の探索の準備が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度より早稲田大学へ異動となったため、継続中の実験を中断せざるを得なくなった。そのため、当初よりY47遺伝子の解析は計画の修正が必要となったが大幅な遅れにはつながらなかった。一方、平成23年度に新たに立ち上げたゴニウム生殖機構研究においても論文一報を発表し、同生物のGCS1遺伝子同定やGCS1抗体の作製などおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
新規植物受精因子Y47については、平成24年度中に論文発表する予定である。当初から計画していたGCS1の関連因子の探索については特異的抗体を用いた手法(pull-down法など)を試みて、スクリーニングされたタンパク質の質量分析を計画通り行う(名古屋大学・澤田均教授らとの共同研究)。また、雌性配偶子受精因子の探索をすべく、首都大学東京・岡本龍史准教授との共同研究をごく最近開始した。体細胞に卵細胞の特性をもたらす卵細胞特異的転写因子OsRKDを同定し、同因子を導入した体細胞から卵細胞受精因子め探索にあたる。
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Research Products
(2 results)