2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Target recognition and expression mechanism of intrinsically disordered protein |
Project/Area Number |
21113004
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
柴田 武彦 独立行政法人理化学研究所, 遺伝制御科学特別研究ユニット, ユニットリーダー (70087550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草野 好司 京都工芸繊維大学, 資源キュレーター教育研究センター, 特任教授 (70336098)
香川 亘 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (70415123)
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Keywords | 蛋白質 / 酵素 / Dな / バイオテクノロジー / 分子認識 |
Research Abstract |
相同組換えは互いに共通塩基配列を糊代に、DNAをつなぎ換える普遍的遺伝現象である。ミトコンドリアを除く全てのゲノムDNAの相同組換えでRecA型組換え酵素(RecA, Rad51等)が共通塩基配列識別とヘテロ二重鎖中間体形成を行う。ヘテロ二重鎖中間体は、単鎖DNAが二重鎖DNAに割り込んで、自身の相補配列と作った二重鎖構造で、普遍的な組換え中間体である。N末端に天然変性領域をもつRad51と共同作用する組換えメディエーターRad52およびDNA融解酵素Srs2は、それらのC末端ドメイン天然変性領域に、推定されるRad51相互作用領域が重なる。これらの天然変性領域の相同組換えでの機能解明を目指した。ゲノムDNAに起こるDNA二本鎖切断(DSB)は正確な相同組換えまたは誤りを伴いがちな非相同的末端結合(NHEJ)で修復される。減数分裂期相同組換えは制御されたDSBで誘導され、共通配列部分の両側でDNA部分を交換する交叉型相同組換えが重要である。一方、栄養増殖期の二倍体細胞では、修復鋳型DNAの塩基配列のコピーでDSBを挟む部分を置き換えることで修復するジーンコンバージョン型相同組換えが重要である。一方、交叉はLOH (ヘテロ接合性の喪失)の潜在要因であり、不正確な修復と共に発がんの要因である。Srs2は反組換え酵素といわれていた。草野は交叉を伴わないSDSA経路での組換えとNHEJを特異的に測定できる初めての系を開発して、Srs2が交叉を抑制する一方SDSA経路を促進することを明らかにした。これらいずれの機能にも、Srs2上のRad51との相互作用部位が必要であった。一方、Rad51とRad52との相互作用の研究の結果、Rad52について、Rad51との相互作用に働くアミノ酸をそのC末端ドメイン中の2か所で特定した。これらのアミノ酸残基の置換変異の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rad52のC末端IDRの離れた2ヶ所にある2つのアミノ酸残基を明らかにしたことで、Rad52組換えメディエーターの機能と機構解明が一段と進みつつある。さらに、新たなSDSA・NHEJアッセイ系を開発したことで、Srs2 DNA融解酵素の未知機能とその機構を明らかにする研究が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
Srs2の天然変性領域の機能について、さらにDSB修復経路全体を視野に入れて解析を進める。また、Rad52とRad51との共同機能について、Rad52のC末端IDR上に存在するRad51との相互作用に重要な2つのアミノ酸残基がRad51のDSBへのリクルートにおいてどのような役割を有するのかを解析する。Rad51のN末端天然変性領域については、機能の解析を既に始めており興味深い結果が出つつある。これらの共通する構造的要素を抽出することで組換えでの天然変性領域での相互作用の機能について普遍的要素を明らかにしたい。
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Research Products
(6 results)