2012 Fiscal Year Annual Research Report
核内ネットワークを制御する天然変性タンパク質の機能発現
Project Area | Target recognition and expression mechanism of intrinsically disordered protein |
Project/Area Number |
21113005
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石野 良純 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30346837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥脇 暢 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50322699)
清水 光弘 明星大学, 理工学部, 教授 (80231364)
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Project Period (FY) |
2009-07-23 – 2014-03-31
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Keywords | 天然変性蛋白質 / 分子間相互作用 / DNA複製 / 転写因子 / ヒストンシャペロン |
Research Abstract |
DNA複製フォーク停止修復過程で重要な働きをするヒト由来のhHef (FANCM)とアーキア由来のHefタンパク質について、それぞれの天然変性領域と相互作用するタンパク質を網羅的にスクリーニングして得られた相互作用タンパク質が、実際に結合することを実験的に証明した。また、それぞれのタンパク質について、Hefとの相互作用の機能的な意味を解明するべく、種々のモデルを提唱した(近日投稿予定)。天然変性領域が複数のタンパク質因子と相互作用するためには、構造をフレキシブルに変換することが必要であり、それを実験的に証明するために、構造解析を進めることにした。結晶化やNMR解析を行うための試料調製に着手した。構造解析は本領域の中の共同研究で進める。 出芽酵母の減数分裂初期遺伝子群の転写の活性と抑制を制御するUme6において、Ime1、Isw2クロマチンリモデリング因子複合体、Sin3-Rpd3ヒストン脱アセチル化酵素複合体との相互作用に関与する天然変性領域のセグメントを決定した(論文準備中)。一方では、テロメアリピートがヌクレオソームポジショニングを破壊することをin vivoで示し(論文投稿中)、ヒトのテロメアリピートにおけるヌクレオソーム形成とTRF1とTRF2の天然変性領域の機能を解析するための実験系を構築した。 アデノウイルスクロマチン制御因子として同定した核小体タンパク質B23が天然変性領域を有することをCDスペクトルを用いて明らかにした。天然変性領域はB23のRNA結合活性の制御に重要な役割を担っており、この領域の細胞内での機能も明らかになってきた。さらに、ヒストンシャペロンNAP1の酸性領域のヒストン結合特異性を明らかにした。この研究は横浜市立大学西村教授グループとの共同研究で進めた。いずれも研究成果も現在論文投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進展については、複製修復関連、転写制御、クロマチン制御ともに、計画どおりに天然変性領域の構造と機能に迫る方向で研究がおおむね順調に進展しており、研究対象とするタンパク質の天然変性領域の構造と機能について、着実に実験データを蓄積している。今後、これらの研究成果を順次、迅速に論文にして行く必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトHef/FANCM、アーキアのHefの天然変性領域と結合するタンパク質との複合体を単離し、構造解析によって、天然変性領域が特有構造へ折り畳まれる現象を実験的に突き詰めていきたい。転写因子、クロマチン因子についても、これまでの成果をとりまとめ論文発表をする。B23は核小体に局在する因子で、天然領域の機能を介して多くのタンパク質と相互作用し、核小体の中でハブとして機能していることが想定される。天然変性領域を持つ因子のハブとしての機能を明らかにすべく、細胞生物学的な研究を進めて、その生物学的な意義を明らかにしていく予定である。最終年にあたるH25年度は、これまでの成果をまとめながら、天然変性蛋白質研究の新たな方向、すなわち、天然変性領域が何故必要になったのか、またその折り畳みの分子機構の本質へ進展させたいと考えている。
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