2010 Fiscal Year Annual Research Report
計算科学による核内タンパク質天然変性状態の構造多型解析
Project Area | Target recognition and expression mechanism of intrinsically disordered protein |
Project/Area Number |
21113006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
肥後 順一 大阪大学, 蛋白質研究所, 特任研究員 (80265719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 誠 大阪大学, サイバーメディアセンター, 教授 (50195210)
高野 光則 早稲田大学, 先進理工学研究科, 准教授 (40313168)
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Keywords | フォールディング / ドッキング / 自由エネルギー地形 |
Research Abstract |
平成22年度と平成23年度(繰越金があったため)は、天然変成蛋白質NRSFとそのパートナータンパク質Sin3の結合過程を、全原子マルチカノニカル分子動力学法で解明した。NRSFは単体では変成状態にあり特定の立体構造を持たない。一方、Sin3の結合サイトに結合するとヘリックスを形成する。この性質は、coupled folding and bindingと呼ばれており、その結合メカニズムはまだ不明である。我々は、NRSFを変成させ、かつNRSFとSin3を空間的に離して配置し、さらにその周囲を充分な水で取り囲み計算を開始した。その結果、多様な複合体様式が得られた。重要なことは、多様な複合体の中に実験で構造決定された複合体構造(天然複合体構造)が含まれており、それが最安定構造になったことである。次に我々はNRSFとSin3の結合過程を表現する自由エネルギー地形を計算した。その結果、地形上には二つの自由エネルギー障壁があることが判明した。NRSFとSin3が結合した初期では、複合体は非天然複合体構造をとる。それがさまざまな構造変化を重ねつつ天然複合体構造へと移行していく。その際、いかなる構造変化がcoupled folding and bindingの重要なテップであるかを詳細に明らかにした。この結果を科学雑誌(JACS)に投稿し、acceptになった(ページ/巻/年情報は、平成23年度の報告に書く)。さらに我々は、上記の結合過程を蛋白質粗視化モデルにより研究した。粗視化モデル中のパラメータを適切に調節することで、全原子モデルで得られた結果を再現できるようになった。この方向性をさらに進めて、全原子モデルを前提にしなくても、coupled folding and bindingが再現することを目指す。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Theory for Trivial Trajectory Parallelization of Multicanonical Molecular Dynamics and Application to a Polypeptide in Water2011
Author(s)
Ikebe, J., Umezawa, K., Kamiya, N., Sugihara, T., Yonezawa, Y., Takano, Y., Nakamura, H., Higo J.
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Journal Title
Journal of Computational Chemistry
Volume: 32
Pages: 1286-1297
Peer Reviewed
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