2009 Fiscal Year Annual Research Report
窒素制限条件下の光合成機能と生産性に与える高CO2環境の影響の解明
Project Area | Comprehensive studies of plant responses to high CO2 world by an innovative consortium of ecologists and molecular biologists |
Project/Area Number |
21114003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小俣 達男 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (50175270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
愛知 真木子 中部大学, 応用生物学部, 講師 (00340208)
前田 真一 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教 (70335016)
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Keywords | 高CO2環境 / 窒素栄養 / 環境応答 / 硝酸イオン輸送体 / 光合成生産性 / シロイヌナズナ / ヒメツリガネゴケ / モウセンゴケ |
Research Abstract |
1.モデル植物の硝酸イオン輸送変異株の作製、取得 野外で一般的な「恒常的窒素不足状態」を実験室内に再現して高CO_2環境の影響を解析するため、シロイヌナズナの硝酸イオン能動輸送体の変異株を用いた条件検討を行い、硝酸イオン輸送体遺伝子NRT2の3重変異株を15mMの硝酸イオン条件で栽培することで恒常的な窒素欠乏を実現できることを示した。また、ヒメツリガネゴケでも硝酸イオン輸送能を欠く変異株を作製して同様の解析を行うため、硝酸イオン輸送に関与する3コピーのNar2遺伝子の破壊を順次進め、Nar2.1とNar2.2の二重破壊株を取得した。 2.野生植物の窒素感受性の解析 東海地方の貧栄養湿地には、モウセンゴケ(Dr)とコモウセンゴケ(Ds)、およびそれらの交雑に起源をもつトウカイコモウセンゴケ(Dt)の3種のモウセンゴケ属植物が自生する。自生地の環境調査と栽培実験を行って、1)自生地の硝酸イオン濃度はDrで3μM以下なのに対し、Dtでは1~200μM(平均50μM)と高いこと、2)栽培条件下で3種とも高濃度(15mM)の硝酸イオンに感受性を示すが、5mMではDsとDtの生育はDrより顕著に良好であること、の2点を明らかにし、これらのことからDtとDrの窒素耐性の違いが、それらの自然分布の差を決定する要因の一つである可能性が高いことを示した。
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