2009 Fiscal Year Annual Research Report
窒素同化能力強化植物を用いたC/N相互作用に基づく高いCO2応答ネットワークの解析
Project Area | Comprehensive studies of plant responses to high CO2 world by an innovative consortium of ecologists and molecular biologists |
Project/Area Number |
21114004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳澤 修一 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (20222359)
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Keywords | 高CO_2応答 / メタボローム解析 / 窒素応答 / C / Nバランス |
Research Abstract |
窒素栄養環境と窒素同化能力に基づく高CO_2応答の違いをメタボローム解析によって明らかにすることを目的として、本年度は、まず、一次代謝物の効率的な包括的解析系の確立を行った。キャピラリー電気泳動質量分析装置(CE-MS)による代謝物測定の分析条件の検討をおこない、陽イオン性代謝物資だけでなく、主要な陰イオン性代謝物質のほぼすべてを利便性の高いフユーズドシリカキャピラリーを用いて測定するための分析条件を確立した。次に、主要代謝物質の分布バランスの比較により、植物種間の代謝バランスの違いを明瞭に示せることの証拠を得るため、5種の遺伝子組換えシロイヌナズナ、すなわちDof1形質転換体、フルクトースー1,6-/セドヘプツロース-1,7-ビスホスファターゼ(FBP/SBPase)形質転換体、Dof1形質転換体にFBP/SBPase遺伝子を導入した形質転換体、Dof1転写因子とFBP/SBPaseの両方の遺伝子を発現させるためのベクターを導入した形質転換体およびベクターコントロール植物体を用いた予備的解析を行った。これら植物体の主要代謝物の測定を行い、主要代謝物質の分布バランスに関して主成分分析を行った。第1主成分は測定した代謝物質の含有率、第2主成分はDof1遺伝子の導入が含有率に正に寄与する代謝物質、第3主成分はFBP/SBPase遺伝子の導入が含有率に負に寄与する代謝物質を指標とした。この予備的解析の結果は、Dof1遺伝子の導入により多くの有機酸や糖リン酸の含有率が増大すること、また、FBP/SBPase遺伝子の導入によりPEPの含有率が増大することを示し、各々の植物体で代謝の律速段階が異なっていることが示唆された。これにより高CO_2応答の違いを評価するうえでも、代謝プロファイリングデータを基にした主成分分析は有効な方法であることを示した。
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Research Products
(9 results)