2010 Fiscal Year Annual Research Report
開放系大気CO2増加環境での樹木等の光合成と木部生産機能のパラメータ化
Project Area | Comprehensive studies of plant responses to high CO2 world by an innovative consortium of ecologists and molecular biologists |
Project/Area Number |
21114008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小池 孝良 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10270919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹 賀一郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70125318)
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Keywords | フェノロジー / 高CO2 / FACEシステム / カンバ類 / 落葉 / 葉の寿命 / 光合成機能 / 出葉数 |
Research Abstract |
高CO_2によって生じる木部通道機能の変化を解明し、その結果、シンク部位としての木部の構造と機能の変化を定量化する。木部には大別して、針葉樹の仮道管材、広葉樹では散孔材と環孔材の三種類があるが、その構造変化(=CO_2貯留場)の変化の普遍性を求めたい。針葉樹としてバイテクF1、広葉樹としては早生樹とされるカンバ類三種の機能を、CO2付加二年目では単木的な影響評価を行った。実験施設の完成年度として、主にカンバ類三種のシュートのフェノロジー(生物季節)を詳細に調べた。ダケカンバ(Be)は高CO_2区で相対成長量と個葉の平均寿命、純光合成速度が増加し、秋口では現存する葉数の減少が遅れる傾向が見られた。一方、積算出葉数にはCO_2処理による有意な差はなかった。これはBeが固定成長的な特徴を持ち、当年の環境変化に対して新たに葉を増加させなかったためと考えた。秋口の落葉の遅れは個葉の寿命が延びたためであると考えられるが、寿命増加の原因は特定できなかった。ウダイカンバ(Bm)はCO_2処理によって伸長成長量がやや増加したが、着葉数や葉寿命に処理間の有意な差は見られなかった。従ってBmの高CO_2に対する応答の程度は小さいと考えられる。この原因の1つとして、Bmでは高CO_2区でも純光合成速度が増加しなかったことが挙げられる。シラカンバ(Bp)は高CO_2区で相対成長量、積算出葉数が増加したが、個葉の平均寿命には処理間に有意な差は見られなかった。高CO_2区では8~9月の出葉数が増加していた。この理由は、高CO_2区で植食性昆虫による被食害が少なかったため成長期の終盤でも成長を継続し、食害を受けた個体も補償成長が見られたためだと推測される。さらに、Bpでは高CO_2区において純光合成速度も増加していたため、対照区と比較して成長や防御へ投資できる光合成産物が多かったと考えられる。
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Research Products
(6 results)