2011 Fiscal Year Annual Research Report
開放系大気CO2増加環境での樹木等の光合成と木部生産機能のパラメータ化
Project Area | Comprehensive studies of plant responses to high CO2 world by an innovative consortium of ecologists and molecular biologists |
Project/Area Number |
21114008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小池 孝良 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10270919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹 賀一郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70125318)
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Keywords | FACE / 高CO2環境 / 落葉樹 / 気孔コンダクタンス / 負の制御 / 貧栄養 / 光合成機能 / 細胞壁 |
Research Abstract |
分子生物~地球生理生態モデルのコンソーシアムの中で、主に光合成・呼吸と気孔コンダクタンスに関する生理生態レベルの野外モデル研究を遂行する。アジアで唯一の樹木を対象にしたFACE(開放系大気CO_2増加実験)と育種材料を用いた森林CO_2固定機能の実験を用いて、越境汚染を含む窒素負荷が樹木個体群に及ぼすモデルパラメータを野外実験から提供する。具体的には、気孔開閉のメカニズムを分子生理レベルの情報を得つつ生理生態データ(葉量と光合成関連データ)の推移を個葉・個体・群集レベルへとCNバランスから評価する。CO_2の影響は、先行研究から土壌の栄養条件の影響を大きく受けることが指摘される。世界には温帯と針葉樹林帯の移行帯森林が3ヶ所に広がるが、本邦は脆弱であり変化が最も明瞭に現れる地帯と位置づけられ、その上、土壌条件が異なるので、特徴ある火山灰土壌に注目する。また、バイテク苗による林相改良試験地を使用して森林レベルのCO_2固定とCNバランスを詳細に解析する。対象とする植物は、成長が早くCO_2貯留能の高いカンバ類とグイマツ雑種F_1である。植栽後2年目では、葉面積指数(LAI[m^2/m^2]:単位面積当りの葉面積)、根の成長モニター、携帯型光合成蒸散速度測定装置による光合成機能評価を行った。高CO_2では、LAIが増加したが樹種間差は大きかった。ダケカンバで落葉が遅れたため、秋に対照では0である時期に約2.2を維持していた。ウダイカンバでは個葉の面積が約20%大きく、シラカンバでは同時枝の生産が約1.8倍であった。また、ライゾトロンによって根の定量的データを得るために画像と実測値を結ぶ検量線を作製した。貧栄養条件ではF_1の光合成には光・CO_2濃度が飽和時での値が、対照に比べて低い光合成の「負の制御」が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中間評価では、「野外実験であり樹木が対象であるため時間のかかることは理解するが、成果が出ていない」、というコメントが届いている。しかし、モデルに提供するLAIの精度高いデータは提供できており、また、国際樹木生理学分野では最高水準の雑誌に報文は掲載された。植え付け後2年目になったので、本格的な成果が出せる状況になったと考えて(2)の自己評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
野外実験なので、年次変動が、一般にはかなり大きい。このため、通常は3年間の継続調査の結果を公開するように心がけてきた。しかし、プロジェクトはあと2年で終了するので、成果を出せる内容から公開する。施設の維持管理が成果を左右するが、これまで管理を行っていた研究分担者が退職したため、後任に同じ研究分野の方を当てる。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Growth and photosynthetic traits of hybrid larch F_1 under elevated CO_2 concentration under low nutrient availability2011
Author(s)
Watanabe, M., Watanabe, Y., Kitaoka, S., Utsugi, H., Kita, K., Koike, T
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Journal Title
Tree Physiology
Volume: 31
Pages: 965-975
Peer Reviewed
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[Presentation] Photosynthetic responses of 3 birch species to elevated CO2 concentration with FACE system in northern Japan2011
Author(s)
Watanabe, M., Mao, Q, Novriyanti, E., Ito, H., Takagi, K., Sasa, K., Koike, T.
Organizer
XXIV SPPS (Scandinavian Plant Physiology Society) Congress
Place of Presentation
Stavanger, (Norway)(招待講演)
Year and Date
20110821-20110825
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