2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Comprehensive studies of plant responses to high CO2 world by an innovative consortium of ecologists and molecular biologists |
Project/Area Number |
21114009
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
廣瀬 忠樹 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (90092311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
彦坂 幸毅 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (10272006)
衣笠 利彦 鳥取大学, 農学部, 助教 (80403377)
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Keywords | 植物 / CO2応答 / 窒素利用 |
Research Abstract |
植物の高CO2応答について以下の研究を行った。 茨城県つくばみらい市に設置された開放系CO2暴露実験(FACE)を用いて、大気CO2濃度と窒素施肥が水田イネ群落の葉面積動態に与える影響を研究した。植物群落の葉面積指数(LAI)は、群落の生産力を決める最も大きな要因のひとつである。岩手県雫石市で行われたFACE実験では、CO2上昇はイネのLAIに影響を与えないこと、枯死葉のバイオマスを増加させることが示された。ここから私たちはCO2上昇は葉面積の生産を増加させるという仮説をたてた。期待に反し、葉面積の生産・枯死ともに窒素施肥により増加したが、CO2上昇の影響を受けなかった。結果として、現存LAIは施肥により増加したが、CO2は有意な影響を及ぼさなかった。2010年、2011年共に同様の結果が得られた。 シロイヌナズナのエコタイプの光合成速度および呼吸速度の解析を行った。高CO2環境で育成した場合、エコタイプ間で光合成速度に1.7倍、乾重あたりの呼吸速度には地上部で3.7倍、地下部で10倍のばらつきがあった。成長解析によって得られたパラメータと光合成・呼吸速度との相関を比較したところ、相対成長速度(RGR)は光合成速度とは有意な相関があったが、呼吸との明確な相関はなかった。葉面積あたりの成長速度(NAR)は、光合成速度や、呼吸と光合成から計算した葉面積あたりの炭素収支と有意な相関を示し、エコタイプ間の成長速度のばらつきは主として光合成のばらつきによって説明されると示唆された。ただし、RGRのばらつきは単一の形質で説明できないため、多変量解析が必要である。現在、どのような統計モデルが妥当かを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部実験に追試が必要となったが、概ね当初計画したとおりに研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
シロイヌナズナについてはCO2応答が特徴的なエコタイプを選抜し、さらに詳細な成長・光合成の解析を行う。これらの結果から高CO2応答にキーとなる形質の絞り込みを行う。 イネFACEについては結果をとりまとめ論文を執筆する。
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Research Products
(9 results)