2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物のCO2応答に関するメタ分析と生態系モデルの高度化
Project Area | Comprehensive studies of plant responses to high CO2 world by an innovative consortium of ecologists and molecular biologists |
Project/Area Number |
21114010
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
伊藤 昭彦 独立行政法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 研究員 (70344273)
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Keywords | 地球環境 / 生態系モデル / CN循環 / 植物生理生態 / 順化 |
Research Abstract |
大気CO_2濃度の上昇に対する植物応答を、陸域生態系モデルを用いて広域スケールで推定するための基盤整備を進めた。陸域生態系モデル(VISIT)と気候モデル(東京大学・国立環境研究所・海洋研究開発機構で開発されたMIROC)のオンライン結合を行い、地球環境変動に伴って陸域生態系のCO_2およびその他の温室効果ガス収支が変化した場合の気候的フィードバック効果を推定することが可能となった。ここで用いた気候モデルのコードは、IPCC第5次報告書のための温暖化予測実験を行うために開発されたものであり、その完成を待って作業を開始する必要があったため多少の遅延が生じたが、結果的に、複雑なコードを慎重に検討しつつ作業を進めることができた。 H22年度より雇用したポスドク研究員と共同で、植物の高CO_2応答に関するメタ分析を進めた。最初に、多様な植物の形質の中でどの項目に焦点を当てるかを検討した。そのため、過去に実施された高CO_2応答メタ分析に関する文献を横断的に収集し、既往研究の欠損部分やデータ蓄積に伴う新規解析の可能性を調べた。その結果、北日本やユーラシア大陸で広大な面積を占める落葉針葉樹林についてはメタ分析の実施例が無く、その他のバイオームについても光合成速度・成長速度以外の項目に関するメタ分析例は非常に少ないことが判明した。メタ分析を効率的に進めるため、文献調査に加えて関連する国際シンポジウムなどに参加して最新情報の収集に努めた。 陸域生態系モデルについて、高CO_2環境に応答するプロセスと部位を個別に検討し、必要に応じて観測データを収集した。対象となっている表現型(光合成・気孔・葉面積・CN分配・呼吸)に関するモデル化の現状をまとめ、コンソーシアムから得られると期待される知見に基づく高度化の方針を検討した。
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