2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝学的アプローチによる高分子非コードRNAマシナリーの生理機能解析
Project Area | Functional machinery for non-coding RNAs |
Project/Area Number |
21115007
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
影山 裕二 神戸大学, 遺伝子実験センター, 准教授 (90335480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 真一 独立行政法人理化学研究所, 基幹研究所, 准主任研究員 (50324679)
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Keywords | キイロショウジョウバエ / マウス / ノンコーディングRNA / 神経細胞 / 発生遺伝学 |
Research Abstract |
ショウジョウバエ中枢神経系特異的高分子non-coding RNAであるMRE32の生理機能を明らかにするため、マイクロアレイ解析およびノザン法により、MRE32変異体において遺伝子発現変動を示す遺伝子を検索し、現在までに12個の遺伝子を同定した。これらMRE32下流遺伝子には、プレキシン結合タンパク質をコードするoff track遺伝子や、行動に関与するhomer遺伝子などが含まれる。また、神経系で特異的に発現する遺伝子のうち、MRE32と発現様式が似ているものを対象に、MRE32と遺伝学的相互作用を示すかどうかを検討したところ、ショウジョウバエTbx2ホモログであるoptomoter blind(omb)遺伝子を同定することができた。MRE32変異ホモ接合で、なおかつomb変異をヘテロ接合でもつ個体は、視葉狭窄部位のomb陽性細胞の形態異常を示すが、omb遺伝子の発現そのものにはほとんど影響が見られないことから、MRE32がomb標的遺伝子の発現制御に関与している可能性が考えられた。 マウスの高分子非コードRNAについては、核内新規核内構造体の骨格成分であるマウスNEAT1 RNAのノックアウトマウスの解析を行い、雌個体が早期に不妊になるという非常に興味深い表現型を見出した。卵巣におけるNEAT1の発現パターンを調べたところ、顆粒膜細胞が黄体細胞に分化するときに強く発現が誘導されることが明らかとなった。また、NEAT1のノックアウトマウスの雌加齢個体では、濾胞の形成や排卵は正常に起こるものの黄体が形成されておらず、ノックアウトマウスの不妊の原因は黄体形成不全によるものと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に書かれた内容は計画に沿う形でほぼ達成されており、さらなる発展を目指して研究を推進中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ順当に研究は進展しており、今後も研究計画に沿った形で研究の推進に努力したい。ショウジョウバエにおいては、視葉あるいは成虫原基におけるMRE32 RNAの表現型が、MRE32 RNAのどのような分子活性に起因するのかを、遺伝学的あるいは生化学的アプローチにより解明する。また、マウスにおいては、黄体形成におけるNEAT1 RNAの生理機能をより詳細に解析するため、各種分子マーカーを用いた組織学的解析ならびに単離パラスペックルを用いた生化学的解析を行い、その分子作用に迫る。
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