2012 Fiscal Year Annual Research Report
Genetic approaches to physiological functions of long noncoding RNA machinery
Project Area | Functional machinery for non-coding RNAs |
Project/Area Number |
21115007
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
影山 裕二 神戸大学, 遺伝子実験センター, 准教授 (90335480)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 真一 独立行政法人理化学研究所, 中川RNA生物学研究室, 准主任研究員 (50324679)
|
Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | noncoding RNA / ショウジョウバエ / 中枢神経系 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、ショウジョウバエ中枢神経系に特異的に発言する高分子non-coding RNAであるMRE32の生理機能の解析を行った。成虫脳内の様々な領域を特異的に標識するマーカー(特異抗体及びGAL4発現系統)を用いて、成虫脳内構造形成におけるMRE32変異体の表現型を解析したところ、ショウジョウバエ成虫の記憶および行動の中枢と考えられているキノコ体の形態異常が観察された。野生型では、キノコ体の軸索は、α, α', β, β', γ の5つのローブに分岐するが、MRE32変異系統の多くの個体では、αおよびα'ローブが完全に欠失するか、あるいは非常に細くなっていた。この表現型は、成虫だけではなく、軸索の分岐が始まる一齢幼虫期の直後から観察され、MRE32がキノコ体軸索の走行に決定的な役割を果たしていることが強く示唆された。 胚発生期においてはMRE32は中枢神経特異的に発現するが、どの世媼神経細胞に発現しているかを各種マーカーを用いて解析したところ、キノコ体ニューロンに隣接して存在する一群のニューロンに特異的に発現していることが明らかになった。現在こららの細胞の発生運命を解析している。また、蛍光in situハイブリダイゼーション法により、MRE32が核内に共在していることが明らかになった。 MRE32遺伝子のゲノム上の被転写領域を確定するため、RT-PCR法によるおおまかなRNAマッピングを行ったところ、MRE32遺伝子の被転写領域は約10 kbで、イントロンは存在しないことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これで全くわかっていなかった中枢神経系におけるlong noncoding RNAの役割について、遺伝学的な手法を用いることで、キノコ体ニューロンの軸索走行に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつある。発現量の少なさに起因する生化学的実験の困難さは認められるものの、long noncoding RNAの生理的機能の解析という当初の目的は達成されつつあり、これまでの研究推移は非常に順調であると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
生理的役割だけでなく、分子レベルの活性を何らかの形で示したい。例えば、MRE32の核特異的局在や、前年度の行ったマイクロアレイによる多数の標的遺伝子の存在は、MRE32が核内において転写制御に関わることを示唆しているが、現在までのところ、それを支持する生化学的・遺伝学的証拠は全く得られていない。RNAに直接結合するタンパク質の同定や、各種転写制御因子との遺伝学的相互作用の解析を行うことにより、MRE32遺伝子の生理機能をより詳細に解析することを目指したい。
|