2011 Fiscal Year Annual Research Report
初期胚細胞動態のインシリコ再構成技術と数理モデルの構築
Project Area | Cell Community in early mammalian development |
Project/Area Number |
21116006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 徹也 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (90513359)
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Keywords | バイオイメージ / 画像解析 / バイオイメージインフォマティクス / 初期発生 / 時空間動態 / 哺乳類 / 数理モデル |
Research Abstract |
開発を進めてきた核位置の3D同定手法を発展させ、比較的広い範囲の初期胚発生段階(2~32細胞)細胞核の位置を同定する手法を開発した。前年度までに導入したGUIなどを用いて核認識精度を評価するための正解データを構築し、90%弱の精度で同定ができていることを定量的に示した。その内容を各種学会で報告し論文として取りまとめPlos Oneに採択された。 核同定の結果を用いて核追跡アルゴリズムの検討を行った結果、時間的トラッキングを安定に行うためには90%の精度では不十分であり、核数が一定(2,4,8細胞)の場合を除き核同定の精度を更に高める必要があることが定量的にわかた。また、トラッキング結果を評価する正解データを作成したが、現時点のGUIでは時間的に異なる核を手動で対応させる作業には不十分でありヒューマンエラーが無視できないことがわかった。そのため新たな画像処理系ソフトの検討を行いAmiraを導入した。 核同定精度のさらなる向上のため、時間的に隣接する画像からの同定結果を再帰的に活用する形にPlos Oneの結果を改良し、精度向上の検討を行った。並行して、他グループから発表されたグラフに基づく新しい核同定手法の予備的検討と解析をすすめ、その結果をIEEE EMBC'13に投稿した。さらに解析に用いるデータセットの変更による同定精度の向上の可能性についても共同研究者とともに検討をすすめた。 数理モデルに関しては、前年度からの検討をしていた細胞分化状態の確率的運命決定の理論に関して解析を進め国内外の会議で発表をした。また、これまでの解析を細胞集団における運命決定問題に拡張した結果をFrontiers in Physiologyに投稿し、論文が採択された。 本研究および画像解析などに基づく定量的なイメージデータの活用に関して、生化学会大会および日本顕微鏡学会などで招待講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3D画像からの核位置同定の精度が、当初想定よりもその後の解析に強く影響することが定量的な評価や異なるアルゴリズムなどを検討することにより明らかになってきた。そのため当初予定していたよりも核同定の精度向上に時間を投資しているが、問題を多面的(これまでのアルゴリズムの改良、新規アルゴリズムの検討、データセットの検討)かつ正解データを用いて定量的に評価してきているため、具体的な解決課題が明確になっている。よって、研究計画への大きな影響は無いと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初期胚4D画像データからの発生動態再構築に向けて、想定していなかったもしくは想定よりも難しいステップが明らかになってきたが、これまでそれらを一つ一つ課題を解決してゆくことで研究が着実に進んできている。今後この方針を保ちつつ、研究課題終了に向けて25年度で全体的な最適化へと計画を進めてゆく。
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