2012 Fiscal Year Annual Research Report
初期胚細胞動態のインシリコ再構成技術と数理モデルの構築
Project Area | Cell Community in early mammalian development |
Project/Area Number |
21116006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 徹也 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (90513359)
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Project Period (FY) |
2009-07-23 – 2014-03-31
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Keywords | バイオイメージング / 画像解析 / バイオイメージインフォマティクス / 初期発生 / 時空間動態 / 哺乳類 / 数理モデル |
Research Abstract |
前年度に引き続き新規データセットに対して、これまで構築したアルゴリズムの改良と検討を行った。その結果これまで90%程度であった核の同定精度を99%に向上させることに成功した。また新しい3Dでの手動データ補正プログラムの検討と開発を行い、実用的なレスポンス速度と機能で動作するプロトタイプシステムを構築することができた。精度が向上した核同定のアルゴリズムと手動補正システムを組み合わせることにより、16細胞まではほぼエラーフリーのデータを作成できることを確認した。作成した16細胞までのデータを用いてさらにトラッキングアルゴリズムを検討した。近接細胞を対応付ける方法や大域的な位置関係を用いる方法などを検討し、現在構築したデータの精度では細胞数に変化がない場合については近接細胞の対応付けで十分トラッキングができることを確認した。しかし細胞が増加する部分については近接細胞の対応付けでは誤った対応付けが頻出することも確認した。また細胞の空間配置を特徴化する方法についても検討を行った。 一方、増殖しかつ状態が変化する細胞集団の持つ統計的特性をトラッキングデータにもとづき検証する方法として、異なる細胞集団の振る舞いに統計的有意差があるかを検証する手法と1細胞内の異なる特性量の間に相関が存在するかを検証する手法を構築した。これらの手法をエピジェネティクス状態が細胞増殖とともに確率的に変化してゆく単細胞の系に対して適用し、確かに機能的に関連している遺伝子領域において確率的なエピジェネティクスサイレンシング状態の相関が存在することを実証した。ゆらぐ過程から分化状態をロバストに作り出すロジックを解析する理論として、フィードバック機構によってゆらぎを制御する際のフィードバック効率を統計量から推定する手法を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は核同定アルゴリズムの精度が90%から99%に大幅に向上したこと、また残る1%のエラーを手動で確認・補正できる実用的なGUIが構築できたことが大きな進展であった。 これまではデータにエラーがある程度存在する条件下でその後のトラッキングや解析を行わなければならず、細胞核同定以後の解析に様々な技術的な困難があった。しかし、今回の進展によりほぼエラーフリーの核同定データが作成できるようになって、トラッキングなどの解析の難易度が大幅に下がった。今後これらのデータを活用してさらなる研究の進展が期待できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
構築したアルゴリズムとGUIを活用して複数の胚にエラフリーデータを作成し、その後のトラッキングや発生動態の解析につなげることが急務である。 特に細胞が分裂する状況で安定して機能するtracking手法を構築することが次の課題になると考えられる。
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