2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Homeostatic inflammation: Molecular basis and dysregulation |
Project/Area Number |
21117003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
改正 恒康 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 寄附研究部門教授 (60224325)
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Keywords | 樹状細胞 / 自然免疫 / 病原体センサー / 炎症 |
Research Abstract |
病原体センサーが自己由来内因性リガンドに応答する平衡状態、およびその破綻によって生じる種々の非感染性慢性炎症を本研究領域では、「自然炎症」と捉えている。核酸を認識する病原体センサーは、宿主由来の核酸を認識し、自己免疫疾患などの非感染性慢性炎症に関与する。核酸センサーは、樹状細胞を中心とした抗原提示細胞で機能するが、その機能や分子機構は細胞種によって大きく異なる。炎症に関与する細胞種として、形質細胞様樹状細胞(pDC)とCD8α陽性樹状細胞(CD8αDC)に焦点を絞っている。pDCは、核酸センサーに応答して1型インターフェロンを産生するという特性を持ち、その特性は,SLEなどの自己免疫疾患の病態に関与する。この特性にpDC優位に発現する転写因子Spi-Bが関与することを見出した。一方、CD8αDCは、死細胞の貪食能、炎症性サイトカインの産生能、および、細胞障害性T細胞の分化誘導能(クロスプライミング能)が高いと言う特性を持つが、その特性がどのように炎症病理に関与しているかは明らかではない。CD8αDCの機能的意義を明らかにするためには、CD8αDCを選択的に欠失できるマウスが有用である。ジフテリアトキシン受容体(DTR)遺伝子を、CD8αDC特異的に発現する遺伝子領域にノックインすることにより、Xcr1-DTRマウスを樹立した。このマウスでは、DTの投与により、1-2日後、CD8αDCが選択的に欠失した。また、CD8αDCが関与すると考えられているクロスプライミング応答は顕著に障害されていた。このマウスは、CD8αDCの機能的意義を明らかにするために有用と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹状細胞サブセットpDC、CD8αDCの解析に有用なマウスとして、Spi-B欠損マウス、Xcr1-DTRマウスを樹立した。また、転写因子をユビキチン化し分解することにより、炎症制御に関与する核内ユビキチンリガーゼPDLIM2についても遺伝子欠損マウスの解析を用いて炎症モデルの解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
Spi-Bについては、I型IFN遺伝子プロモーターをどのように活性化するか解析を進める。Spi-Bは、転写因子IRF-7と相互作用すると考えられるが、他の因子がどのように関与するかについても解析を進める。Spi-B欠損マウスについては、pDCばかりでなく、他の免疫担当細胞が正常かどうかについても検討する。また、CD8αDCを欠失させられるマウスを用いて、種々の免疫応答、種々の炎症モデルを解析する。この結果に従い、CD8αDCが必須の役割を果たしていることが明らかになった実験系において、特にどの機能分子が関与しているのかについて解析を行う。
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Research Products
(20 results)