2009 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエにおける内因性リガンド・病原体センサーによる恒常性維持機構
Project Area | Homeostatic inflammation: Molecular basis and dysregulation |
Project/Area Number |
21117005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
倉田 祥一朗 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90221944)
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Keywords | 自然炎症 / 自然免疫 / ショウジョウバエ / 新規受容体 / cGMP / Toll経路 |
Research Abstract |
本研究では、ショウジョウバエを用いて、病原体センサーが病原体成分に限らず自己由来内因性リガンドにも応答し、恒常性維持機構としての自然炎症を誘導しており、その破綻が病態へつながることを明確に示すと共に、その分子的基盤を明らかにすることを目的としている。 これまでに、ショウジョウバエを用いた機能獲得型ゲノムワイドスクリーニングにより、自然免疫を制御する新規受容体を同定している。本研究では、この新規受容体とこれまで明らかとなっている自然免疫機構,特に、哺乳動物では病原体センサーとして機能し、ショウジョウバエでも自然免疫受容体として機能するToll受容体が制御している機構との関係を調べた。その結果、新規受容体は、Toll経路で働くdMyD88,Tube,Pelle,Drsal/Difを介して抗菌ペプチドの産生を誘導しているものの、Toll受容体そのものとは独立して機能していることが明らかとなった。また、その際、cGMPを介して作用していることも明らかとなった。さらに、DNAマイクロアレイの解析により、新規受容体は、抗菌ペプチドだけでなく、セリンプロテアーゼなど他の多くの遺伝子の発現誘導を制御していることが明らかとなった。これらの結果は、自然免疫を制御するcGMPを介した新規なシグナル伝達系が存在していることを示している。今回同定した新規シグナル伝達経路もToll経路と同様に、種を超えて存在し、自然炎症の制御を行っている可能性を指摘できた。
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