2009 Fiscal Year Annual Research Report
組織傷害時に誘導される内因性リガンドと病原体センサーシグナルの遺伝生化学的解明
Project Area | Homeostatic inflammation: Molecular basis and dysregulation |
Project/Area Number |
21117006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
倉永 英里奈 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (90376591)
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Keywords | カスパーゼ / 細胞死 / 自然炎症 / ショウジョウバエ / 内因性リガンド / 病原体センサー |
Research Abstract |
本研究では、ショウジョウバエ自然炎症における内在性リガンド、そのリガンドを感知するセンサー、内因性リガンド放出メカニズムの解明、および、内因性リガンドに応答するカスパーゼ活性動態の検出ツール開発を目指している。本研究は、以下の5つの段階によって遂行する。 A 損傷後のdapaf-1変異体の体液中に含まれる過剰な内因性リガンドのオミクス解析 B 損傷後に致死性を誘導する内因性リガンドおよび自然炎症センサーのスクリーニング C A,Bにより同定した因子のショウジョウバエでの機能解析 D A,Bにより同定した因子の他の生体防御機構における一般性の検証 E 内因性リガンドによるインフラマソーム/カスパーゼ活性動態検出ツール(ハエ、マウス)の確立 平成21年度はAの遂行を中心的に行った。ショウジョウバエ成虫から体液を採取することはこれまで困難であったが、予備研究において、効率良く安定して体液を採取する方法をすでに確立した。損傷前および損傷後のdapaf-1変異体と野生型の体液をオミクス解析により比較した結果、プロテオミクス解析においては、ショウジョウバエ自然免疫経路に関与するPGRPの1つが、dapaf-1体液中に多く含まれることが明らかになった。このタンパク質のdapaf-1変異体における機能を調べるために、dapaf-1とPGRPの二重変異体を作成し、ストレスへの脆弱性、自然免疫経路の活性化などを調べた結果、ほ乳類のTLR経路にあたるToll経路の過剰な活性化が観察されたことから、PGRPはdapaf-1変異体において発現が増加することで、Toll経路の抑制に働いていることが示唆される。自然炎症におけるPGRPの機能についてさらなる解析を行っていく。
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Research Products
(4 results)