2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Founding a creative society via collaboration among humans and robots |
Project/Area Number |
21118008
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
宮下 敬宏 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 知能ロボティクス研究所, 室長 (50332771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 崇行 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 知能ロボティクス研究所, 研究員 (90374107)
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Keywords | 学び合い / 会話パターン / 対話履歴構造化 |
Research Abstract |
本研究は,会話の中でロボットが学びを誘発し,その一方でロボット自身も学ぶメカニズムを解明することを目的としている.3年目となる本年度は,学びの場での実験を開始した.8週間にわたって,毎回2時間,4~6名の子供達がLegoの作り方を一緒に学ぶ協調学習型の放課後教室を開催した.人型ロボットが作り方の説明や進行役といった教室運営の役割を担い,大人がいない,子供とロボットのみの学習環境を作り出した.これまでに63名の小学校4-6年生が実験に参加した.参加した子供たちはLegoの使い方を理解し,モーターとセンサを組み合わせたLegoロボットを自分で作れるようになった.また,事前・事後の比較からも,ロボットの作り方に関して,知識を得たことがわかった.大人の先生ではなく,課題の正解を知らないロボットが教室運営するという学習環境を子どもたちは非常にポジティブにとらえた.「大人だと"もうちょっとこうしたら?"と言われたりするが,ロボットとだからのびのびやれた」「学校では先生についつい答えを聞いてしまうけど,ロボットは答えを知らなそうだから自分で考えようと思った」といった声が上がっており,ロボットが運営する教室ならではの,学習者中心の学習を引き出せたと言える.学びの場を作り出すためのロボットの役割も明らかになりつつある.ロボットが話しかけたことで,子供たちが励まされ,より学習を続けたり,工夫を試みたりする可能性が見出されつつある.たとえば,ロボットに励まされてさらに工夫し,ロボットに見せる,ロボットが褒めた工夫を他の子供と共有するといった場面が観察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画を一部変更し,実際の学びの場での研究を優先的に進め,子どもたちがグループで8週間にわたってロボットとともに学ぶ,という長期的な実証実験を行った.この結果,ロボットならではの学習者中心型の学びを引き起こせることを明らかにできた.このことから,計画と同水準の結果を出しつつあると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では,学びの場にロボットが参加する際に,学びに関わる多くの知識が会話の中でやりとりされる,という「知識の外化」が自然に起きることを想定していた.しかし,かなりの期間をかけて予備実験を行う中で,実際には,むしろ「ロボット相手には真剣に考えを述べない」という問題が見出されてきた.そこで,ロボットを対話相手にしたときにおきる現象を長所として活かし,擬人的なロボットが存在するものの,そのロボットも答えを知らない,という状況を設定することにより,学習者中心の学習を引き起こす,という利用方法を見出すにいたった.今後は,当初計画を変更し,このような知識共有がおきるような学びの場を促進するインタラクションパターンを明らかにし,それをロボットが獲得する方法の実現を目指す.
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