2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Elucidation of social stratification mechanism and control over health inequality in contemporary Japan: New interdisciplinary area of social and health sciences |
Project/Area Number |
21119006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 廉毅 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70178341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 正博 お茶の水女子大学, その他部局等, 准教授 (40286000)
谷原 真一 福岡大学, 医学部, 准教授 (40285771)
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Keywords | 保健 / 医療 / 福祉 / アクセス / 健康格差 / 医療保障制度 / 医師分布 |
Research Abstract |
本新学術領域研究で企画・実施している多目的共用パネル調査のデータ分析、および本研究班独自の調査・資料収集によるデータ分析を通して、保健・医療・福祉サービスへのアクセスと健康状態との関連を包括的に分析し、社会の階層化を考慮した統合的なサービス提供のあり方を検討する。今年度の研究成果は以下のとおりである。 (1)多目的共用パネル調査のデータ分析:集中度指標を用いて、外来、定期的外来、入院、歯科(予防、治療)へのアクセスと所得の関連について分析した。その結果、外来と定期的外来は高所得層にアクセスが偏り、入院は低所得層に偏っていた。所得指標の等価世帯所得がアクセスに対して最も高い寄与を示し、その寄与の程度は入院、定期的外来、外来の順となった。歯科サービス(予防、治療)については、特に予防において高所得層に有利な形で不平等が存在していた。 (2)既存統計・調査による全国レベルのアクセス状況の分析:へき地・過疎地域を抱える二次医療圏における人口10万対医師数の改善は、医師数増よりも人口減の寄与する程度が大きかった。したがって、アクセスの改善は医師人口比等の指標で示される程には改善していないことが示唆された。 (3)震災による医療アクセスへの影響:東日本大震災による医療アクセスへの影響を把握するため、被災3県(福島県、宮城県、岩手県)の国民健康保険団体連合会を対象にヒアリング調査を行った。被災県のレセプト審査請求件数は、2011年4月請求分(震災のあった3月の診療分)は前年度比で82%であり、2割近い落ち込みがあった。請求件数の落ち込みは徐々に回復する傾向にあるが、7月請求分(6月診療分)においても前年度比96%という状況であった。 (4) アクセス是正に係る公共政策の検討:オランダにおける医療分野の「規制された競争」政策について詳細に分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多目的共用パネル調査の実施が子ども手当等の制度変更によって、当初の計画より半年程度遅れることになったが、その後は計画どおりに研究を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
分担研究者と協力して、保健・医療・福祉サービスへのアクセスと健康状態との関連を包括的に分析し、社会の階層化を考慮した統合的なサービス提供のあり方について具体的な提言ができるよう研究を推進する。
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Research Products
(12 results)