2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経回路の同期の生成崩壊に基づく認知情報生成機構の解明
Project Area | The study on the neural dynamics for understanding communication in terms of complex hetero systems |
Project/Area Number |
21120005
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山口 陽子 The Institute of Physical and Chemical Research, 創発知能ダイナミクス研究チーム, チームリーダー (00158122)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北城 圭一 , 創発知能ダイナミクス研究チーム, 副チームリーダー (70302601)
|
Keywords | 神経リズム / 同期 / 記憶 / 海馬 / シータリズム / 計算論モデル / 脳波 / 経蓋磁気刺激 |
Research Abstract |
脳の大域回路の同期形成による認知機能の発現のしくみを理論と実験とから解明するために、次のようなアプローチを行う。大域的回路については脳波知見をもとに異なる周波数を適切に回路に導入し、リズム毎のモジュール間で現れる結合のダイナミクスを解析し、認知制御の原理をモデル上で検討することを目的としている。本年度は、シータのリズム回路の記憶特性についての定量的なモデル解析を行い、ラットからヒトへの一般化可能性、ヒトで見られる特徴的な階層構造の回路発現について報告した。また、作業記憶をリズム回路で表現するために、フリップフロープの状態遷移と振動成分をともにもつ連想記憶回路を提案し、その基本的特性としてミルナーアトラクターという不安定な固定点を持つため、多様なダイナミクスが現れることを報告した。これらの知見と作業記憶課題の脳波解析をもとに、シータとアルファの結合システムについて数理的検討を進めた。また、本プロジェクトでは脳波同期の因果性検証のために、経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いる。ヒトの脳活動に干渉しながら脳波測定をすることで、局所部位、及び、部位間の同期の生成、崩壊ダイナミクスを操作し、認知機能との連関から文脈依存的な認知機能の脳回路ダイナミクスを因果的に解明する。本年度は実験系について、装置の設定、刺激条件などをほぼ確立し、予備データを取得した。データの解析方法について特に位相測定に関わる時間分解能を上げるための検討を進めた。
|