2012 Fiscal Year Annual Research Report
Neural principle of congnitive control based on synchronization-desynchronization in heterogeneous systems
Project Area | The study on the neural dynamics for understanding communication in terms of complex hetero systems |
Project/Area Number |
21120005
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山口 陽子 独立行政法人理化学研究所, 神経情報基盤センター, 神経情報基盤センター長 (00158122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 真弘 独立行政法人理化学研究所, 脳リズム情報処理連携ユニット, 研究員 (40513370)
北城 圭一 独立行政法人理化学研究所, 脳信号処理研究チーム, 副チームリーダー (70302601)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 脳リズム / 同期 / 脳波測定 / 計算論モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
1)ラットの海馬からのLFPの周波数解析に二次スペクトル解析と呼ばれる方法を導入したところ、シータの振幅のゆらぎが 0、7ヘルツ程度の遅い振動周期を持ち、環境の場所特異性、課題の文脈依存性の情報をコードすることがわかった。海馬場所細胞の発火は、このシータ振幅の遅い振動の位相固定しており、その位相特異性が課題の文脈に依存することがわかった。海馬の場所細胞が行動の大きな時間スケールとしての文脈性を持つことは、世界で初めて得られた知見である。 2)人の作業記憶の保持と操作がシータとアルプぁの大域的同期回路として表現されることをこれまでに我々のグループで示していたが、本年度は、作業記憶課題に色の好き嫌いの効果が入る場合の脳波の変化から、その回路生成と機能の関係の解析を試みた。結果として、色が好き嫌いで脳波のリズム成分に変化が見られ、この変化と作業記憶の成績の変化ともよい対応を持つことがわかった。脳リズム回路で得られる動的回路は嗜好性とも連動して働くことがわかり、脳のヘテロな部位のコミュニケーションとしての脳の計算論構築の上で重要な原理を得た。 3)二人の人が交互に会話する場合のタイミングとしての協調性の生成の計算論を解明するため、二人の交互発話の実験課題で二人の脳の同時測定を行い解析した。この結果、二人の協調性に相関するのは頭頂部と左前頭部のアルファ/シータ帯域の脳波であることがわかった。作業記憶の保持操作として現れる回路がコミュニケーションにおいては二人に現れ行動を通したクローズドループを作って協調を実現することが示唆された。 4)二人の交互タッピング課題に対する非線形振動子モデルを構成し、実験データのリズムの安定性を理論モデルで解析することができた。このモデルをもとに脳のリズム回路と、二人の協調行動をつなぐ理論モデルの検討が可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト研究については個体の脳だけでなく、二人の脳の測定法、解析法を確立して、有意義な成果を得たのは、計画以上の進展であった。その後、別の課題で展開が進んでいる。 理論モデルについては実験とつなげる新たな展開を確立することができ、発展に期待が持てる。 動物実験データの解析では、領域の他の班との共同研究という形で期待以上とも言える成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトとヒトのコミュニケーションにおける脳と脳の動的相互作用という新たな視点で実験、理論とも成果としてまとめたい。 共同研究としては異なる分野の課題に、脳リズムからの解明が有効であることを示すことで、より広い領域としての展開に可能性を示したい。
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