2009 Fiscal Year Annual Research Report
異なる入力情報の相互作用による自己組織化メカニズムの解明
Project Area | The study on the neural dynamics for understanding communication in terms of complex hetero systems |
Project/Area Number |
21120006
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
相原 威 Tamagawa University, 工学部, 教授 (70192838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 裕 , 脳科学研究所, 准教授 (70323376)
藤井 聡 山形大学, 医学部, 教授 (80173384)
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Keywords | 情報統合 / 海馬 / 聴覚野 / 可塑性 / トップダウン |
Research Abstract |
研究の目的 脳内の情動や注意に関わるトップダウン情報は、個体間のコミュニケーションで重要な情報と直結しており、脳内モデルの自己組織化に与えるコミュニケーションの影響として捉えることができる。本研究では、ボトムアップとトップダウンというヘテロな系の相互作用ダイナミクスを実験と理論の両側面から明らかにすることで、コミュニケーションの脳内神経機構を探る糸口としていく研究を行っている。 平成21年度の具体的な実験結果としては、ラット海馬スライスを用いて、 (1)CA1野錐体細胞へのCA3からSchaffer側枝経由のボトムアップ入力によるシナプス可塑性が、コリン作動性ニューロンからのトップダウン入力により受ける影響を調べた。結果としてアセチルコリンが放出されるとゆっくりとした60秒程度のEPSPが起こり、その間に入った入力による可塑性(スパイクタイミング依存性可塑性:STDP)が促進されることが分かった。この結果は、情動及び随意・注意などの情報が海馬における情報連合にいかに関与するかを示す細胞レベルの重要な知見となり、コミュニケーションの脳内モデルにおける記憶・学習過程の重要な基盤の理解になると考えられる。 (2)また、海馬歯状回において、モダリティーの異なる感覚系の2入力があることに着目し、そのボトムアップ入力の情報統合についてグルタメイトのアンケージング刺激による局所刺激を用いた実験を行い、その非線形性を評価することができた。さらに来年度はCA1野と同様にアセチルコリンによるトップダウン情報の影響も加味する情報統合様式の解明を目指したい。
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Research Products
(18 results)