2009 Fiscal Year Annual Research Report
過去の経験と現在の状況から展望的記憶を動的に形成する記憶メカニズムの解明
Project Area | The study on the neural dynamics for understanding communication in terms of complex hetero systems |
Project/Area Number |
21120007
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
奥田 次郎 Kyoto Sangyo University, コンピュータ理工学部, 准教授 (80384725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 俊勝 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (70271913)
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Keywords | 知覚 / 記憶 / 予測 / 計画立て / 行動遂行 / インタラクション / 非侵襲脳計測 / 動的神経活動連関 |
Research Abstract |
本研究では、人間が過去の経験から将来の行動を計画・記憶し、現在の状況に即してこれを動的に更新、適切に想起・遂行する展望的記憶の認知脳メカニズムについて、複数認知プロセス間の相互連携ならびに脳内の複数神経システム間の動的機能連関という視点から実験的に明らかにすることを目的とする。特に、「現在の環境の知覚・認知」、「文脈依存的な記憶の形成と取り出し」、「未来の行動予定の計画立てと遂行」という3つの中核的な認知プロセスに焦点をあて、脳波・機能的MRI・ポジトロンCT・経頭蓋磁気刺激など複数の生理実験手法を併用して、その脳内メカニズムを探る。●本年度は主に、各プロセスを独立に検討するための課題構築と予備的データ取得・解析を行った。特に、「記憶の形成と取り出し」において、解離性逆向健忘の2症例(心因的なストレスによりある一定期間の記憶が一定期間の間抑制された症例)の回復過程の機能的MRI研究から、前頭前野皮質の活動亢進が海馬領域の活動低下を伴うことにより記憶の取り出しが阻害されることを示した。この結果は、記憶過程における大脳皮質-海馬間のインタラクティブなメカニズムを示唆するものである。また、「行動の遂行と制御」において、課題の指示に従って刺激の異なる属性の間で認知判断の切り替えを求められる課題(ストループ干渉課題)中の機能的MRI計測データから、刺激の視覚属性処理を担当する視覚皮質間の活動量の差に基づく前頭連合皮質の活動変動を1試行ごとに解析する新たな分析手法を考案した。同様の手法を、過去の刺激の時系列を基に未来の行動制御の予測を行う課題にも応用し、前頭連合野内の異なる領域が課題の異なる時点間において動的に連関して活動することにより未来の行動遂行が制御されることを示唆する結果を得た。
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Research Products
(24 results)